口座を開くためには、ネット証券会社のウェブサイトにアクセスし、その手順を追っていけばいい。なお、ポイントは、「複利で運用する」ことだという。
「金利には『単利』と『複利』があって、例えば『+5%』の利回りで100万円を20年間運用するとしたら、単利だと毎年5万円、つまり20年で100万円(5万円×20年)になる計算。ところが複利なら、最初の年にもらった5万円を次の年に繰り越すと、次の年は105万円に対して5%がもらえるというわけです。これを20年繰り返すと金利だけで約165万円になり、単利と比べ65万円も多く、断然お得です」
とはいえ、満期になる10年先を考えても、国債の金利0.3%ではちょっと寂しい気もする。そこで、もう少しハイリターンを望む人にお勧めなのが、投資信託(ファンド)だ。これは証券会社や銀行にお金を渡し、自分の代わりに運用してもらうというもの。
「わかりやすく言うと『詰め合わせ』のことです。株に限定して言えば、1つの袋の中にいろいろな会社の株が入っていると考えればいい。日本だけでも5000種類以上あって、例えばトヨタ1社の株だけ買うと、トヨタの株が大きく下落した時は大きく影響を受ける。でも投資信託は詰め合わせなので、袋の中にはソフトバンクも三菱東京UFJも入っていたりする。どれかが下がっても、全体で見たら影響が減らせるというのが分散投資の基本的な考え方なのです」
投資信託には気軽に海外にも投資できる利点もある。山崎氏の推奨は2種類。まず「上場インデックスファンドTOPIX」(国内株の投資信託)という商品だ。
「これは一口いくらで売り買いができる株式みたいなもの。TOPIXというのは、東証一部に上場している全ての会社(1800社以上)の株価を加重平均したもので、東証一部上場の全銘柄の時価総額を全銘柄数で割ったもの(指数)です。例えば1万円投資していてTOPIXが1000ポイントから1200ポイントになれば、2000円損をする計算。逆に800ポイントになれば、2000円得するというもの。手数料が安くて、自分が持っている銘柄の変動がニュースや新聞から一目でわかるのもいい」
もう1つが、外国株式の投資信託である「ニッセイ外国株式インデックスファンド」。日本を除く先進23カ国の会社の株が対象で、いうなれば海外版のTOPIXといったところだ。
ただし投資信託の場合、注意点が1つ。それは「買う時より売る時のほうが安くなっていても売る」勇気を持つこと。
「しょせんお金は道具と割り切り、過剰な思い入れは持たないこと。あと1割戻ればそこから利益が出るから、と売り時を逃してそのまま沈んでしまうケースは多いですからね」
国債と国内外の投資信託。資産の運用で覚えておくべき商品はこれだけで十分であり、「他はやらなくていい」と山崎氏は言うのだ。