軽減税率を巡る与野党協議が決着。いよいよ17年4月の消費税率10%への引き上げが現実味を帯びてきた。財布のヒモが固くなる一方のご時世、金融知識なしのド素人でもわかる財テク術を伝授しよう。
「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」。誰もがそう叫びたくなるこの文言は、Amazonの「一般・投資読み物ランキング」で1位を獲得した経済評論家・山崎元氏の近著(大橋弘祐氏との共著・文響社)のタイトルである。「ド素人でもわかる」が売りの財テク指南が満載なのだが、その最重要部分を山崎氏に特別解説してもらった。
まずお勧めなのは、個人向けの日本国債だという。
「これは国が保証してくれているものだし、元本保証なので、途中で解約しないかぎり減りません。今なら10年もので0.3%くらいの利回り。銀行にはスーパー定期というのがありますが、利回りは0.1~0.2%程度。10年定期でもそんなものだから、銀行に預けているよりはちょっとイイということになります」
国債は国にお金を貸して、少し利子を付けて返してもらうものだが、
「もちろん、銀行に預けるよりも安全。なぜなら国と銀行、どっちが先に潰れるかといったら銀行でしょ。国債は国が財政破綻したり、戦争に負けるとか、革命とかがないかぎり破綻することはありませんから」
個人向け国債は「固定3年型」「固定5年型」「変動10年型」の3種類があるが、
「買うべきは満期が10年の『変動10年型』です。固定型に比べ、変動型は長期金利に合わせて変動します。これは銀行が金利を決める時に目安にしているもの。しかも、満期が10年でも、下ろせないのは最初の1年だけ。それ以降に下ろしたい時は、過去1年分の金利を返すペナルティを受ければ、実質的に元本割れすることはありません」
つまり、銀行の定期預金よりは金利がよく、かつ国債だということを考えれば、こちらのほうが安心でお得というわけだ。
では、さっそく国債を買いに銀行へ、と言いたいところだが、
「銀行に行って個人向け国債を買いたいと言っても、たいがい『利回り低いですよ』『国債で大丈夫ですか』と、すぐには売ってくれません。なぜなら個人向け国債を1000万円売ったとしても、財務省から銀行に入る手数料は0.5%の5万円程度。ところが投資信託なら1000万円だと30万円が入る計算になる。つまり、せっかくカモがお金を持って来たのに、0.5%しか手数料を取れない国債を勧めるはずがないんです。ですからお金を正しく運用したかったら、銀行には近づかないこと。そう覚えておいたほうがいい」
では、どこで国債を買うのかというと、
「ネットの証券会社に口座を開きます。ネット証券の利点は商品ラインアップが多いことと、手数料が安いこと。デイトレーダーのように毎日何かしらの取り引きをしている人以外は、ネット証券で十分です」