保険の見直しも必要だ。仮に毎月2万円の生命保険を40年間払い続ければ1000万円近くになるが、
「自分が死んだら家族が路頭に迷うという人以外は保険に加入する必要はありません。例えば子供が自立するまでの10年~20年、最低限の期間に掛け捨て型で『残される家族×1000万円』くらいの死亡保障のみの保険で十分。掛け捨てなら安いし、仮に保険会社が潰れてしまったら、他に変更すればいい」
医療保険も同様で、
「病気になった時には『高額医療費制度』を利用すればいい。これは健康保険に入っている人が(その人の年収によって算出される)月に数万円を超える医療費がかかった場合、超過分を国が負担してくれる制度。だから保険に入ったと思って、保険料分を貯蓄したほうがいいですね」
最後は確定拠出型年金だ。
「今までの企業年金は確定給付年金といって『定年退職した時に○円を支払いますよ』というもの。対して確定拠出年金は『運用は皆さんで好きにしてください。その代わり、運用成績によってはもらえる年金額が変わります』というもの」
定期預金のような元本保証の運用メニューもあれば、投資信託のようなリスクのある商品メニューもある。
「毎月、給料から天引きされた分が所得控除されるので、所得税や住民税が安くなる。確定拠出年金の運用で儲かった分の税金は、運用期間中に限って非課税。しかも期間に制限がないことが最大のメリットです」
ただ、現在は公務員や主婦は加入できず、「個人型」に入れる自営業も国民年金に加入していることが条件だ。また、勤務先が確定拠出年金を導入している場合は「企業型」になるが、すでに他の企業年金制度を導入している場合は加入できない。
「つまり、会社員は自分が企業型なのか個人型なのか、あるいはどちらにも入れないのか、まず会社に聞くことですね」
勤務先に企業年金制度がなく、確定拠出年金制度も導入していない場合は、自分で個人型の確定拠出年金に申し込む必要がある。
「上限の毎月2万3000円(年間27万6000円)を年金の掛け金にして、確定拠出年金として積み立てていくと、その分、所得税控除が受けられる。所得税をざっと20%と計算すると、年間約5万円程度の節税効果があります」
つまり、確定拠出年金として毎月の給料から天引きされるだけで、年間5万円も得するという「やればほぼ確実に得をする数少ない商品」なのだ。
こうした「お金の増やし方」について、山崎氏は次のように総括する。
「結局は必要のない金融知識より、知恵が大事ということです。ファイナンシャルプランナーに相談料を払って相談するのはいいけれど、その人が紹介する金融機関から商品を購入してはいけませんよ、ということ。運用する際には、必要以上のセールストークや広告に惑わされないことが一番、ということです」
資産運用はシンプルイズベストということか。