社会

山崎元の「なっ得!オヤジのためのマネー講座」 -“個人向け国債”を知っておけ-

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銀行預金より安全で国債暴落にも強い!安全なお金の置き場所「個人向け国債」を知っておけ

 今回は、「絶対に元本割れは嫌だ」という虎の子の大金をお持ちの読者にアドバイスすることにしよう。

 大金を現金のまま自宅に置く、いわゆる「タンス預金」は物騒だし利息を生まない。表に出せるお金なら、どこかに預けるか金融商品を買うかする方がいい。

 銀行はどうか。日本の銀行に「円」で預ける預金には預金保険という仕組みがあって、預金者1人当たり、銀行1行につき、1000万円までの預金の元本と利息が保護されることになっている。お金を預けた銀行が将来破綻しても、この範囲の預金は国が保証してくれる。尚、同じ銀行に預金口座を複数作ったり、銀行の支店を変えたりしても無意味で、あくまでも「1人、1行、1000万円!」が原則だ。今、日本にただちに危ないと思える銀行は無いが、向こう数年単位で絶対大丈夫だと言うことはとてもできない。銀行は見かけよりも不安定なビジネスなのだ。

 1000万円を超えるお金はどうしたものか。ものの本には、複数の銀行に分ける方法が紹介されていることもあるが、面倒だし、銀行預金は条件が良くない。

 大きなお金を置いておくのに安心な対象は、ズバリ「個人向け国債」だ。個人向け国債には幾つかタイプがあるが、財務省のホームページで「変動10」と略称している、変動金利で10年満期のものがいい。

 まず、国債なので、元利金の支払いは国が保証するから、銀行預金よりも安全だ。さすがの財務省も「銀行預金よりも安全です」とは宣伝しないが、本当だ。

 利率は半年単位で変動し、その時の10年国債利回りの0.66倍に決まる。現時点では、銀行の半年定期預金よりも利率が高いし、将来金利が上昇しても、そこそこに追随する。

 加えて、1年経つと直近の2回分の利息をペナルティとして払うことで、常に元本100%で途中解約できる。通常の長期国債は、金利が大きく上昇した時に途中売却すると元本割れして損が出るが、このタイプの個人向け国債は大丈夫だ。世間で言う「国債暴落」とは、長期国債が大きく値下がりすることなのだが、「変動10」は国債なのに、国債暴落に強いのだ。将来高金利になった時点で、元本で途中解約して高い金利で債券を買うこともできる。

 常にベストとは限らないが、条件的に無難以上で、何よりも安全だ。筆者は、田舎に住む自分の母親(79歳)に「変動10」の個人向け国債を勧めている。

 個人向け国債は、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行、いずれの窓口でも毎月買える。1つ注意してほしいのは、窓口で投資信託など別の手数料の高い商品をセールスされやすいこと。個人向け国債を売っても金融機関の受け取る手数料が小さいからだ。もちろん、セールスされるものにろくなものがないのは大人の経済常識だ。

◆プロフィール 山崎元(やまざき・はじめ) 経済評論家。58年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社し、野村投信、住友信託、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現在は楽天証券経済研究所客員研究員。獨協大学経済学部特任教授。「全面改訂 超簡単 お金の運用術」(朝日新書)など著書多数。

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