●ゲスト:厚切りジェイソン(あつぎり・じぇいそん) 1986年、アメリカ・ミシガン州生まれ。本名はジェイソン・デイヴィッド・ダニエルソン。17歳でミシガン州立大学に飛び級入学。その後、イリノイ大学の大学院へ進み、コンピュータ─サイエンス学科修士課程修了。05年、音声認識ソフトの研究のため初来日。1年間の滞在期間中にお笑いに興味を持つ。一度アメリカで就職するが、日本で仕事をするために11年に再来日。13年、ワタナベコメディスクールに19期生として入学し、14年9月に芸人デビュー。IT企業の役員を務めながら、バラエティ番組などで幅広く活躍している。「R-1グランプリ2015」に芸歴5カ月で決勝進出。著書「日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy」(ぴあ)が発売中。
昨年大ブレイクした芸人といえば、やはりこの人、厚切りジェイソン。日本のフシギにキレ気味に突っ込む笑いでお茶の間を沸かせているヘンなアメリカ人は、IT企業の役員でもあるのだ。さまざまな顔を持つ才人の熱く鋭いトークに、天才テリーも思わず「WHY?」を連発!?
テリー 去年はいい年だったんじゃないの? テレビの出演本数が一気に増えて、ブレイクタレント・ランキングの1位にもなってたし、この前出た著書も好調みたいだよね。
ジェイソン そうですね、ありがとうございます。
テリー 漢字ネタもおもしろいし、決めの「ホワイ、ジャパニーズ・ピープル!?」もすっかり定着したね。
ジェイソン あれはライブの時にネタが飛んで(忘れて)しまって、とっさに出た言葉なんです。それを先輩の芸人が見てくれていて「あれはおもしろいから、大事にしろ」とアドバイスしてくれて、そこから意識してネタに入れるようになりました。
テリー あ、初めはああいうスタイルじゃなかったんだ?
ジェイソン 最初はアメリカのコメディアンがやってるような、スタンダップ・コメディみたいなネタをやってたんですよ。
テリー ちょっと皮肉っぽい一人語りみたいな感じでしょ。その時はウケてた?
ジェイソン 全然ですね。いちばんひどい時はお客さんが誰も何の音も出さなくて、最後に客席の後ろのほうから、たぶん70歳ぐらいの男性の「(ネタの内容が)深い」って声だけが聞こえてきたことがありました(笑)。ああいうのは日本では、はやらないですね。
テリー そもそも、日本のお笑いは好きだったの?
ジェイソン 僕はもともと陽気な外国人。日本に来てテレビを観て、「これはおもしろいんじゃないか」とずっと思っていました。
テリー へ~、好きだった芸人さんは誰?
ジェイソン 小梅太夫さん、アクセルホッパーさん、オリエンタルラジオさんとかですね。
テリー そうか、リズムネタが好きなんだ?
ジェイソン ああいうのが頭に残るし、日本語のいい教材にもなったんですよ。日本のテレビ番組はテロップが出て、オチの部分だけ文字の色が変わって大きくなるから。
テリー なるほどね!
ジェイソン 辞書で調べながら1時間のドラマを観るのは大変ですけど、お笑いのネタは短いから、ハードルが低いんです。で、観てるうちに僕もやりたいと思って。
テリー どういう方法でアプローチしたの?
ジェイソン 好きだったザブングルさんのライブを観に行って、「カッチカチやぞ!」の加藤(歩)さんに「飲みましょう」とムリヤリ名刺を渡したら、ホントに連絡をくれて、飲みに行くようになったんです。で、ある時「芸人になりたいです」と相談しました。
テリー 「カッチカチやぞ!」って言われた?
ジェイソン 「やめろ」って反対されましたね。「仕事もあるし、家族もいるんだから苦労するぞ」と。
テリー 結婚してるんだ?
ジェイソン ええ、もう9年になりますね。子供も2人います。
テリー ちゃんとしてるじゃない。だったら、奥さんは大反対だったでしょ?
ジェイソン いや、「ジェイソンなら何とかなるでしょう」と言ってくれて。
テリー いい奥さんだねぇ。ブレイクしたからよかったけど、怖くなかった?
ジェイソン むしろ、やらないと「あの時やっていたら‥‥」って、ずっと後悔する性格なので。全然大丈夫でしたよ。