テリー こういうふうに状況が変わったことで、何か変化はあった?
永野 自分の中で大きく変わったのは、中高生の女の子とか、お子さんに喜んでもらえるようになったのがうれしくて。今までは売れないヒガミだと思うんですが、「お笑い通の人だけにウケればいい」と思ってたんですよ。でも、やっぱりそうじゃないな、と。
テリー それは、メジャーになっていく人がみんな通る道なんだよ。
永野 あ、そういうものなんですか。
テリー うん。(ビート)たけしさんにしろ、とんねるずにしろ、売れ始めた頃にみんなそう思うんだよ。それは昔からのファンに対する裏切りでも何でもなくて、ごく自然なことだよ。
永野 ですよね? まあ「昔のほうがよかった」って言ってる人もいるみたいですけどね。
テリー そんなの、関係ないよ。
永野 ええ、今のほうがよっぽど楽しいし、刺激的なので。
テリー そもそも、どうして永野さんはお笑い芸人を目指したの?
永野 とんねるずさんやダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさんを見て、お笑いの世界に憧れたんです。でも誰かに弟子入りするような根性もないし、ネタの作り方もわからないので、とりあえず18歳で上京して、ビジネス系の専門学校に入りました。
テリー まあ、芸人のなり方なんて、実際どうすればいいかわからないもんね。
永野 しかも僕、いちいちカッコ悪いんですよ。専門学校も、お笑い目指してドロップアウトしてればカッコいいんでしょうけど、ちゃんと卒業してますし、親から普通に仕送りをもらってましたし(笑)。背負うドラマも、ハングリーさもまったくないんです。
テリー アハハハ、確かにそりゃ不安になるな。
永野 それで20歳ぐらいの時に意を決して、太田プロのお笑いライブのオーディションに行くんです。そしたら、いきなり合格しまして。
テリー へえ、すごいじゃん! その時はどんなネタだったの?
永野 それが、今とまったく変わらない感じでして。「ファッションショーでございます」っていう自分の声を重ねたプリンスの曲をカセットテープで流しながら、おもしろい服を着るだけっていう。
テリー アハハハハハ、昔から独創的だな。
永野 と言っていただくとカッコいいんですけどね。今になって考えると、よく殴られなかったなと思います(笑)。
テリー で、肝心のライブはどうだったの?
永野 ネタ見せの時はすごくウケたんですけど、いざ舞台に出たら、お客さんに「気持ち悪い」って言われまして‥‥結局、太田プロのライブには2回出させてもらったんですけど、3回目のネタを見せに行ったら、「今度お笑い学校を始めることになったから、あなたは今後、そちらに通ってください」と言われました。
テリー ああ、ライブで結果が出せなかったから。
永野 それで、次はホリプロのオーディションに行くんです。
テリー で、それも受かっった?
永野 ええ、でも合格の理由は「ネタはおもしろくないけど、何となくキャラクターが気になる」でしたから。何にもすごくないんですよ(笑)。太田プロの件があったので、僕としては必死にしがみついていたんですけどねェ。