社会

池上彰 そうだったのか!日本復興を阻む「敵」(7) 消費税は17%でも足りない

──ここまでうかがうと、いつかは増税しなければいけない気がしてきました。でも、いきなり倍の10%は厳しい。
 そこで、まずは8%で段階を踏むというやり方は1つの手なんですよ。いきなり10%にすると、その前に駆け込み需要が発生するでしょ。大量に物が売れるわけですよ。でも10%になった瞬間激しく売り上げが落ち込むはずです。97年に3%から5%に上げた時もそうでしょ? ところが、8%から10%と段階的に上げると、その後10%に上がる前に買おうということになるから8~10%までの間に売り上げが落ち込まないで済むんですよ。
──ショックが和らぐというわけですね。
 で、10%になる前に次は15%です、とくる。
――えぇッ。それはきつい冗談です。
 ハハハ、ちょっとここまでくると、まるでブラックジョークだよね。でも、上げないと10%になったところで売り上げが落ち込むことになるから、15%に上げる方策をとるでしょう。もう1つ重要なことは、消費税が10%になったところで我が国の財政赤字は減らないということです。今の財政赤字の増え方が緩やかになるだけなんですよ。
――10%でダメなら、どれだけ必要なんでしょう?
 財政赤字を増やさないためには消費税率は17%が必要なんです。それでも年金、社会福祉が充実するわけじゃないんですよ。実は、社会福祉を充実させようとすると、さらに7%プラス、合わせて24~25%が必要になるんです。
――それはヒドい‥‥。
 デンマークでは教育費も医療費も国の負担ですが、消費税は1960年代から少しずつ上げ、25%にしている。でも40年以上時間をかけて。いきなり25%にしたわけではないんですね。
 日本は、これまで問題をずっと先送りにしてきたその結果がこれなんです。
――待ったなしだという状況はわかりますが、それでも、消費増税は被災地を含めて低所得者に対する負担になるのでは?
 それに関して民主党は戻し減税をやると言っています。並行して進めている「マイナンバー制度」を導入して、所得をきちんと把握し、低所得者に関してはお金をあげますよという仕組みとセットにするという考えなんです。
――消費税以外に赤字を減らす方法はありますか?
 いわゆる埋蔵金はだいたいみんな使っちゃったんですね。確かに、法人税を上げる方法はありますが、実は今、世界中が法人税の引き下げ競争をしているんですよね。そうすると、金は大企業から取ってほしいというのは庶民の気持ちとしてはとってもよくわかるけど、それをやっちゃうと企業が国内から逃げていってしまうんです。
 残るは所得税ですが、景気が悪くなれば所得税も法人税も落ち込むわけですよ。でも消費税はすぐに落ち込まないんですね。買わなきゃいけないから、だから税収が安定するためには消費税が望ましいということになっているんですよ。
――あとはバブル再来でも‥‥。
 あぁ確かにバブルが来るといいですねぇ。バブルが来れば税収は跳ね上がって財政赤字はかなり減るんですよね。事実、バブル期には赤字国債を発行しないで済みましたから。ただし、それをただ待っているだけでいいんですか、という話です。今大変なのはわかりますが、後世のことを考えて、長い目で見たシステムを構築することを考えなければいけない時期でしょう。

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