オコエは「乱脈指導」の他にもう一つ、「爆弾」を抱えている。両膝の成長痛だ。体重が増え続けているため、骨の生育が筋肉の生育についていけずに起きる痛みで、いつ膝がアウトになるかわからないという。
「オコエは中学2年時に大腿骨頭すべり症という、大腿骨の成長板が股関節から離れてしまう故障で歩けなくなり、そのズレを防ぐために、手術で右足にボルトを2本入れた。その後、ボルトは取っていますが、現在も両足の長さが不ぞろいで、身体測定でも両足の筋バランスが悪い。まだ体が成長しているので、特に膝に成長痛を発症するんです」(球団関係者)
自慢の足がパンクしてしまえば、オコエの将来にもオコエを見に来た球界OBの誰もが「デカい」と、その肉体に驚くが、まだ身長、赤信号が点滅する。実はこの話が一部スポーツ紙にスッパ抜かれると、オコエ自身がツイッターで猛反論。
〈最近さ? 膝がどーだの股関節がどうのこうので爆弾、爆弾言われてるけどさ全身爆弾じゃねーかよ。んなわけあるか。普通に練習やってますから。こういう応援してくれてる人減らす記事とか本当やめて欲しいわ。心配かけてすいません〉
すぐに気がついた球団サイドがオコエに注意して削除させたが、以降、オコエは報道した記者の質問を露骨に無視するような態度を取っているという。
だが、オコエがこれらのネガティブ要素をはね返すパワーを秘める選手であることも確かだ。打撃はまだ一軍レベルに程遠いが、梨田監督は一向に二軍へ落とそうとしない。実戦デビューで放った三塁打といい、その走力と守備力は非凡で、2三振4タコに終わった2月18日の韓国KIAとの練習試合では、9回に左中間を襲う強烈なヒット性の打球をスライディングキャッチ。試合後、梨田監督は「守備、走塁は一軍レベルとして合格」と発言し、開幕一軍入りをほのめかしたが、監督のオコエびいきの裏にはある事情があるという。球界関係者がバラす。
「星野(仙一)副会長から『オコエを開幕一軍に入れろ』と指令が出ているんです。星野副会長は中日監督時代、反対にあいながらもルーキーの立浪和義をすぐにスタメン起用して、のちに大打者にした実績と経験があります。話題作りという側面も多分にあるようですが。守備と走塁が大丈夫なら使いみちは多いし、プロのスピードとパワーに慣れてくれば打撃もよくなる可能性はあるでしょう」
クレバーで言葉も豊富。冷戦状態に突入した記者以外の報道陣への対応のしかたもすばらしく、誰もがその目をみはるような成長力をほめたたえる。そんな才能あるオコエがアドバイスの取捨選択をしっかりとできるかどうか。球界の至宝が寄ってたかって潰されないことを祈るのみである。