濃密なラブシーンで話題を独占したのは、10年放送の「セカンドバージン」。鈴木京香(47)が演じるバツイチの出版プロデューサー・中村るいと、17歳年下で既婚者の鈴木行(長谷川博己)とのズブズブの禁断恋愛劇が視聴者を釘づけにした。
「ドラマに大胆なベッドシーンを取り入れれば、注目度が上がり、受信料を支払う若者世代が増えるのではないか、という上層部の発案で、『セカンド──』以降、官能的な場面が多くなりました。視聴者からは批判より賛同の声が圧倒的だったことに驚いています」(NHK職員)
初回視聴率は5.5%とイマイチだったが、数字は回を追うごとに上昇。最終回は11.5%と2桁を記録したのだった。
数々の情事が描かれたシーンの中で印象的だったのは、第7話で男の泊まっているホテルに、鈴木京香が訪れた時のこと。
部屋のドアが開いて入ってくるなり、男はぽってりした京香の唇にむしゃぶりつく。そのまま乱暴に京香のコートを脱がせると、ベッドに押し倒した。焼けぼっくいに火がついた勢いのまま、年下男の激しいキスの雨に、京香は腰砕けの嬌声を上げ、今にも絶頂に達しそうな顔で悶えるのだった。
クライマックスが近づいた第9話では、ビジネスに失敗して、中国マフィアに損失を与えた長谷川は、闇の仕事に手を染めるまで追い詰められていた。
これが最後の夜になると察した長谷川は、激しくも切ない表情で裸の京香を時間をかけて愛撫していく。首元から背中に唇をはわせていくと、京香の甘いアエギ声が室内に響き渡った。ドラマ関係者は濡れ場シーンの撮影について、こう振り返る。
「当時はベッドシーンを経験しているスタッフがほとんどおらず、現場に緊張感が走っていました。共演者の長谷川さんも震えていたのですが、京香さんはリラックスしていて、『首筋を舐める時は堂々とやったほうがいいよ』とアドバイスを送っていたほどです」
ドラマの人気に乗じて、翌年には映画化もされたのだが、まさかの大コケという結果に終わった。
「ドラマでこれだけ官能的だったのだから、映画版はどれだけスゴイんだ、と期待して観たら、鈴木京香さんが全然脱いでいなくてガッカリ。その後の作品でもパッとせず、女優としてステップアップする機会を逃した印象があります」(映画評論家・秋本鉄次氏)
夏目雅子のように、NHKドラマが女優としての「転機」にはならなかったようだ。