中江氏がさらに続ける。
「おまけに日本は通貨高に苦しむスイスなどとは違って、その真逆の円安だった。だから、マイナス金利にしたってうまくいくはずがない。黒田総裁の参謀の頭を疑うよ」
そして、安倍総理と黒田総裁はさらなる一手を打ってくる可能性が大きい、と中江氏は語る。
「参議院選挙が7月に実施される。憲法改正という本懐を遂げるには、ここでコケるわけにはいかない。アベノミクスは吹っ飛んでしまったし、自民党にも緩みが出ている。安倍総理は金融緩和と補正予算でもう一度、巻き返しを図ろうとするに違いない。黒田総裁だって、あと2年の任期が残っている。ここで辞めてしまったら、これまでのことがフイになってしまう。こうなりゃ、どんどん(次の政策を)やっていくしかない。破れかぶれで策を講じるはずだ。それに市場が反応して、中間反騰を見せるんですよ」
中間反騰とは、下落傾向の相場が一時的に上昇に転じる反動高のことを言う。それが本格的に復調すると、本格反騰となる。
「株価というのはね、大暴落のあと、反動もあって反騰するけど、反騰を続けるうちに引き締め策が浸透し、やはり経済環境が悪いとして、再び反騰前の安値を下回ることが多い。で、このままでは参院選を有利な状態で迎えられないかもしれないと、安倍総理は市場が好転するよう仕掛けてくる。僕はそれが5月か6月にあると見ているんですよ。その中間反騰を見逃さず株を売り抜ければ、ピンチをチャンスに変えられるということ。一般の投資家にとっては、これが最後のチャンスとなるかもしれない。しかし、欲をかいてその時に買いにいけば、被害をさらに大きくすることになる。情報が錯綜して、本格反騰だと勘違いする投資家が多いんだけどね。株はね、儲ければ儲けるほど、含み損を持つ。甘い世界じゃないんだよ」
プロなら株価のチャートからそれが読める。当然、先回りして買いにいき、しこたま儲けるという算段だ。
「安倍総理はなりふりかまわずやってくるだろうから、ひょっとすると消費税増税も見送るかもしれない。庶民にはそれが最も効くからね。安倍総理にとって重要なのは憲法改正。タイミングは今しかない。もしこれを逃してしまえば、次のチャンスはやって来ないでしょう。その意味で、消費増税の見送りはありうること」