野山に街に、草木が彩りを与える春。この春を代表する草花がタンポポである。ふだん気にとめることもないこのタンポポに、実はすごい健康効果があったのだ。
タンポポは、世界中に約400種、日本各地に20種類ほどが自生するキク科の植物だが、このタンポポの薬効が凄かった。
中国では生薬名「蒲公英(ホコウエイ)」といい、むくみ改善、冷え性改善、便秘改善、健胃作用、強肝作用、血圧低下・血糖値抑制作用、催乳作用、解熱などに使われ、またヨーロッパでも、肝臓・胆嚢の他、尿路結石等の治療に利用されてきた。
タンポポの根にビタミン類やミネラルが豊富なことは我が国でも知られており、江戸時代には根や葉をひたし物や和え物など食用にしていた。中国医学を研究している整体師の三上藤雄氏は言う。
「タンポポの根は、水分代謝を活発にするフラボノイドの一種であるイソクエルシトリンが含まれるほか、ビタミン類やミネラルが豊富なので肝機能を高め、コレステロールや血圧を低下させる効果がある。それに強壮作用も高いので、EDの改善にも注目されているのです」
タンポポに関する科学的な研究が盛んになり、アメリカの農務省の研究では、タンポポにはエストロゲンホルモン(雌性発情ホルモン)よりもさら強いものがあることがわかったという。さらにドイツでは、タンポポの根には、肝臓浄化作用と胆汁合成促進作用が、中国では、タンポポの抗菌作用が、研究によって報告されてある。
このように、二日酔いにも、強壮にも効果が高いと聞いては道ばた、空き地にいくらでもあるタンポポを利用しない手はない。根ごと全草を取ってきて水洗いしたあと半日陰干しし、それを刻む。お茶として利用するには、1日量約10グラムに水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこし、食間または食前に3回に分けて服用する。タンポポ酒にするには、アルコール35度以上の蒸留酒に3カ月ほど漬け込んた後、1日おちょこ1杯ほど飲めばよい。おひたしで食べる場合は、あく抜きをきちんとやることが肝要。生食は厳禁だ。
(谷川渓)