5月1日に「天皇賞・春」が京都で行われる。昨年の有馬記念組が人気の中心だが、荒れ傾向のGIレースだけに、大波乱の可能性も十分。一方、5月8日の「NHKマイルC」は牝馬メジャーエンブレムが巻き返しを図る。
GWの真っただ中。GIが続く競馬は、淀の京都競馬場で行われる伝統の名物レース、天皇賞・春が5月1日のメインだ。
芝2000メートルで行われる秋の天皇賞(東京競馬場)に対し、こちらは芝3200メートルの長距離戦。東京のそれも決して順当に収まるGIとは言えないが、こちらは昨今、長丁場の重賞が少なくなったこともあり、不確定要素が多いことから、よく荒れることで知られている。
ここ3年、馬連、馬単ともに万馬券は出ていないが、だからといって人気どおりの結果にはなっていない。馬単が導入された03年春以降、これまでの13年間、馬単で万馬券になったのは7回(馬連では6回)を数える“荒れるGI”である。しかも、そのうち2度も“ハネ万(10万馬券)”になっているのだから、まともに決まるものと見てかかるのは、馬券作戦上、危険と言わざるをえない。
何しろこの間、1番人気馬が勝ったのはわずか1回(2着はなし)で、2番人気馬は4勝(2着2回)。長丁場においては、これまでの実績をあまりうのみにしてはいけないということか。長距離においては出走各馬の能力差が縮んでしまうとも取れ、スタミナの有無をしっかりと把握しておくことは必要不可欠だろう。
では、顔ぶれを見てみよう。絶対視できる馬は見当たらないが、実績馬は多く、ハイレベルで拮抗していると言っていいか。
復活の兆しを見せるアルバート、菊花賞馬でその後も順調なキタサンブラック、日経賞を勝ち、好スタートを切った有馬記念馬ゴールドアクター、同2着のサウンズオブアース、女傑ヴィルシーナの弟・シュヴァルグラン、スタミナの権化トゥインクルとフェイムゲームといったところが有力候補としてあげられよう。中ではゴールドアクター、キタサンブラックが最有力候補と見られるが、だからといって抜けた存在とは言えない。つまり今回も波乱の目はなくはない。伏兵の食い込む余地は十分ありそうなのだ。
データからも顔ぶれからも簡単に決まりそうでないなら、我ら穴党の出番である。食指を動かされる馬は数頭いるが、最も期待を寄せてみたいのは、サトノノブレスだ。
菊花賞2着の実績があるようにスタミナ自慢の馬。一時スランプになっていたが、ここにきてひ弱さが解消、コンスタントに上位争いを演じられるまでにたくましくなった。
「ようやく本格化してきた感じ。前走後はここ一本に照準を合わせ、しっかり調整してきた。そのかいあって、今までにない好状態に達している」
こう言って目を細めるのは池江調教師だが、その前走の内容もよかった。好位でスムーズに立ち回り、先に抜け出したファントムライトをゴール前できっちり差し切って見せたもの。着差以上に強い印象を与えた。ハンデ頭の58キロの斤量をものともしなかったが、幾度となく58キロを背負ってきたのは、この馬の強みと言っていいだろう。
1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。女傑ベガほか活躍馬が近親、一族にいる良血。道悪も不安なく、有力どころと互角に渡り合っていい。
穴馬はもう1頭。ファタモルガーナが、それ。すでに8歳馬。峠を越えたと見られているが、さにあらず。前走後2カ月半レース間隔が開いたが、これは予定の行動。乗り込み量は豊富で、臨戦態勢は万全だ。母系の影響強く、スタミナ満点。年齢的な衰えはまったく感じられず、むしろ今が最盛期とさえ思えるほど。一発があっていい。