熊本市の複数の避難所では、窃盗多発を伝える注意放送が定期的に行われていた。施設の一部を避難所として開放している熊本刑務所のボランティアが言う。
「ほとんどは金品の被害ですが、女性用のアンダーウェアなど、女性に対しての欲求を満たす目的と考えられる盗難の報告が、市内の避難所から寄せられています」
避難所となっている市内の中学校で生活し、実際に被害にあった女子高生(16)が言う。
「食事の配給をもらいに行っている間に、下着を入れたバッグがまるまるなくなっていて。何日か支給品の大人用オムツをはいていました。でも『上』はなかなか手に入らなくて。周りの視線が気になるけど、それよりこの中に盗んだ犯人がいると思うと怖くて‥‥」
テレビでは性犯罪被害への注意喚起を促すテロップも流されているが、かろうじて避難所暮らしを免れ、熊本市内の自宅で生活する女性(25)は声を震わせて打ち明ける。
「いきなり部屋のドアをガチャガチャして開けてきた人がいて‥‥。悲鳴を上げたら逃げていきましたけど襲われるかもと思うと、本当に怖かった」
性犯罪抑制に一役買っているとも言えるのが風俗街である。熊本市内には約40軒のソープランドが立ち並び、そのサービスの質の高さから、日本各地から訪れる客が実に多い。風俗案内所のスタッフが明かす。
「14日の余震の時にプレイしていた人は女の子を置いて店外に飛び出し、タクシー会社に『10万円払うから福岡まで連れていってくれ』と電話していました」
だが、16日の本震で水道やガスが止まるなど設備に被害が発生して営業を見合わせる店が続出。どうにか営業を続けていたのは10店舗に満たなかった。風俗案内所スタッフが続ける。
「一部のお店(ソープ)は18日から営業していますが、1店舗当たり1日20人ぐらいの客が来ています。地元の人が1割、県外が9割くらいですね。県外は地震被害の保険金支払いで訪れた保険マンや銀行員が多い。割引しての最低料金でご案内しています」
格安で案内するのにはもちろん、理由があった。