年に1度くらいは、常日頃、たいへんお世話になっている“チチ”に感謝したいものだ。ところが現実は、またもや美女たちの魅力で逆に骨抜きとなる始末。特に松たか子の体当たり艶技ときたら、オッパイどころか‥‥。本誌はしっかりと目に焼き付けたのである。
乳房の谷間に汗が テラテラ
新宿の高層ビル群を遠くに見渡す、生活感あふれるマンションのリビングルーム。初夏の風を受けながら座卓にパソコンや書籍を並べて、夫婦で計画した結婚詐欺のために調べ物をしているのは、最近、人妻役も板についてきた松たか子(35)である。
彼女はおもむろに床にあおむけになると、胸元が大きく開いた紺色のTシャツ姿のまま、スエットパンツの中に右手を忍び込ませた。
自分が言いだしたこととはいえ、夫が今この瞬間も他の女とセックスをしているかもしれない‥‥。そんな淫らな想像をしてか、それとも、1人で夫の帰りを待つ孤独感を紛らわすためなのか、みずからの右指で秘部を慰めるのだった。
「ハア‥‥、ハア‥‥、ハア‥‥、アッ、ハア‥‥」
清楚な和風顔の眉間にシワを寄せた松が、ほてったカラダで官能の吐息を漏らす。すでに、頰、首筋、鎖骨、そして、ツンと上を向いた両の乳房の谷間には、スクリーン越しでもにおい立つような、淫靡な汗がテラテラと光っている。
段々に、股間を刺激する指の動きとともに、松の眉間のシワはさらに深くなり、呼吸が荒くなる。腰が浮き、ついに‥‥というところで電話機のコール音が鳴り、松は起き上がって我に返るのだった。
これからというところで寸止めを食らい、茫然とする松。いらだつようにティッシュボックスからティッシュを引き抜くと、左手で右手中指と人さし指の2本指に付着した愛液を拭うのだった─。
松が、迫真の「悶絶オナニー」を見せるのは、9月8日公開予定の映画「夢売るふたり」( アスミック・エース)。
本誌はいち早く作品を観賞、松が苦悶する表情を確かめたのである。
映画批評家の前田有一氏はこう話す。
「作品全体に伏線が張り巡らされ、圧倒的なリアリティがあります。その中でも、自慰シーンは実に生々しく、印象的な演技でした。うごめく右手はもちろん、ねっとりとした汗で濡れた胸元が実にエロチックだった。全裸であけすけにやられるよりも、品のある松さんが演じるから、よけいに色っぽいのです。さらには、彼女が存在感あって耳に心地よい声の持ち主であることもそれを助長していた。高まる感情を押し殺しながらも思わず漏れてしまう甘いアエギ声。それだけで世のオジサマたちはノックアウトされると思います」
物語は、東京の片隅で小料理屋を営んでいた阿部サダヲ(42)演じる夫の貫也と松演じる妻の里子が、火事で全てを失ってしまうところから始まる。「自分たちの店を持つ」という夢をあきらめきれない2人には、金が必要だった。再出発のため、先の卑劣な計画を思いつく。妻が女たちの心の隙間を見つけだして、夫が言葉巧みに女の懐に入り込む。時には女の肉欲を満たしながら、だまして金を巻き上げていくのだ。
当初は思惑どおりに進んでいた計画だったが、やがてウソの繰り返しは、だました女たちとの間ばかりか、夫婦間にまで、亀裂を生じさせていくのだった。
前出・前田氏は言う。
「夫婦という血のつながっていない男女の危うさと切なさ、そして愛を描いた作品です。そんな中で、松が演じた自慰シーンは、妻の心理描写を実にリアルに表現していたと思います」
松たか子とオナニー。反意語にも聞こえる言葉の響きが、さらに映像の興奮を高めたことは間違いない。