球界の盟主・巨人が苦しい戦いを強いられている。開幕当初こそ順調に白星を積み上げて首位を快走していたが、ここにきて連敗を何度も重ねるなど、思い描いていたシナリオは狂いっ放し。いよいよ新任監督に対する風当たりは強まり、絶対エースの動向にまで影響を及ぼしているようだ。
交流戦は大誤算だった。そもそも2016年シーズンは日本一奪回を果たすべく「打倒ホークス」を合言葉にスタートしていたが、敵地で行われた6月10日からのソフトバンク3連戦は屈辱の同一カード3連敗。2年連続で天敵に3タテを食らったのである。
意気込んだ決戦ではね返されたのと前後して、なんと球団内では歯車がかみ合わなくなった原因が指摘され始めた。今季からタクトを振っている高橋由伸監督(41)に対し、「実際はほとんど何もしていないのではないか」との疑念が渦巻いているというのだ。
球団関係者が声を潜めながら打ち明ける。
「ベンチからのサイン伝達は基本的に村田真一ヘッド(52)に任せ、門外漢の投手陣起用法についても尾花高夫投手コーチ(58)主導で決められている。要するに率先して『これでいく』という指示の決断がまだできないんですよ。ほとんど準備期間もないまま“ポスト原”にあてがわれた監督就任1年目だから、多くを求めるのは酷かもしれない。ただ、選手に直接アドバイスするような、初歩的なこともここまでほとんど行っていません。原辰徳前監督(57)のように監督室に選手を呼び出してカミナリを落としたり、あるいは重要な案件を直接伝えたりするようなことも一切ないと聞く。あえて乱暴な言い方をすると、監督の職務を放棄して他のコーチたちに“丸投げ”しているような状況です」
巨人番記者が補足する。
「チームの主力選手たちに由伸監督について聞いてみると『試合中もベンチでほとんど表情ひとつ変えないし、言葉もロクに発することがないから不気味』とか『キャンプ中から、ここまで話しかけられたことがない』とか、コミュニケーション不足を指摘する答えが返ってきます」
その監督評の大半が芳しくなく、「腹の中で何を考えているのかがわからない」というものまであったという。
どちらかと言えば、何かとウルサ型で上から押しつけることの多かった原前監督は選手から疎まれている部分もあった。それだけに、ソフト路線重視の高橋新体制はチーム内の風通しがよくなり、選手たちは指揮官の目を気にすることなくノビノビとプレー。それが開幕直後の“快進撃”を生み出した大きな要因だったのである。
しかし、それも長くは続かなかった。