フジと競うように、女子アナのアイドル化に率先して力を入れていたのが日本テレビだ。黄金世代の一人で、同局に所属、現在はフリーアナとして活躍中の大神いずみ(47)が当時を振り返る。
「92年に私が入社した時は永井美奈子さんがすごく人気で、薮本雅子さん(48)たちと『DORA』っていうグループを華々しくやっていました。それに、私の1つ上の先輩までは、入社と同時に写真集を撮っていたそうです。『女子アナってそんなことまでやるの!?』って思いましたね」
局在籍時、一貫してバラエティ畑を歩んできた大神だが、入社後には報道番組基準でのアナウンサー研修も受けているが‥‥。
「実は、内定をいただいてから正式に入社するまでに、すでにバラエティ番組の収録に参加していました。研修の時には先輩から、『もうオンエアに乗ったからって、アナウンサーだと認めたわけじゃない』と厳しく指導されました」
未熟な状態でも新人を売り出そうとするくらい、“女子アナ”相場は暴騰していたのだ。しかしブラウン管の外では、優雅さとおよそ無縁の毎日だったと大神は語る。
「お嫁に行く時に唯一持って行った、退社までの7年間で使った会社支給のスケジュール手帳は読み返すと真っ黒でした。よく『女子アナの誰と誰が仲が悪い』って記事があるけど、忙しすぎてアナウンス部内で対立するヒマなんてありませんよ。今だから言えますが、7年間ずっとお肌の調子がよくなくて、吹き出物を潰してメイクで隠すのが日課だったんです。『いったんリセットさせてください』という気持ちだけで会社を辞めたら、次の日から、みごとにスーッて、きれいになって驚きました」
福井も女子アナという仕事の過酷さを証言する。
「人気女子アナは制作からも出演オファーがたくさん届きます。アナウンサーという仕事はどうしても、いい意味で“八方美人”じゃないといい仕事ができない部分があって、断りを入れるのは難しい。必然的に過重労働になるんです。僕も退職の相談を受けたりしましたが、やっぱりみんな疲弊気味でしたね」
局を出る女子アナがあとを絶たないのは、収入面よりも、肉体的・精神的な疲労が大きいようだ。
「一緒に『プロ野球ニュース』に出ていた中井美穂さん(51)とも番組終わりによく飲みに行きましたが、ボヤキやグチもいっぱい聞きましたね。毎回のように夜明け前まで飲み明かしていました」(福井)
福井は同じく番組を一緒に担当した西山喜久恵アナ(47)や木佐彩子(45)ともよく酒席を共にしたという。
「みんなお酒は強くて、あまり酔って乱れたりした記憶はないですね。ああ! でも木佐さんは非常にフレンドリーというか、お酒が入ると先輩とか上司とか関係なく何でもしゃべっちゃうところがあるんです。一度『アワビごちそうしてくださ~い』なんておねだりされて、一緒に行ったらえらく高くついたことがあって、やめときゃよかったなって思ったことはありました」