夏競馬の最後を飾る「新潟記念」は、過去5年、1、2番人気で馬券に絡んだ馬がわずか1頭という大荒れ傾向。夏の負けを取り戻すチャンスだ。一方、小倉の「小倉2歳S」は、2連勝中のクインズサリナが人気の中心!
新潟、小倉のローカル夏の陣は今週で幕。その掉尾を飾るのは新潟記念だ。ハンデ戦であり、よく荒れる重賞で知られる。今回も顔ぶれ多彩で難解な一戦と言っていい。
過去を振り返ってみよう。馬単導入後のこれまでの14年間、半数の7回が馬単で万馬券になっている(馬連では5回)。00年以降の16年間では1番人気馬はわずか1勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着1回)。一筋縄で決まらないことがよくわかる。
年齢的には充実の5歳馬がよく連に絡んでいるが、その前後の4歳、6歳馬も連対を果たしており、7歳馬も4勝(2着2回)と、よく頑張っている。ただし、8歳馬以上は出走頭数も少ないことから、この間1頭も連対しておらず、高齢馬には肩入れすべきではないようだ。
ハンデはどうだろう。52キロ以下の軽ハンデ馬もよく連対しているが、57キロ以上の斤量を背負う馬もまま勝ち負けしており、実績馬を軽視するのは禁物だ。あとは牝馬の善戦が目立つ。出走頭数は牡馬に比べてグンと少ないのに、よく連対を果たしている。暑さに強いのが理由の一つだろうか。
以上のポイントを頭に入れて勝ち馬をあぶり出してみよう。といってもクセ者ぞろい。どの馬が勝ち負けしても不思議ではない。
人気からいけばアルバートドック、ダコール、そしてエキストラエンド、マイネルミラノといったところだろうが、いずれも重いハンデを課せられそうで全幅の信頼を寄せ切れない。
何とも難解だが、最も狙ってみたいのは、ファントムライトだ。
前走の函館記念は穴人気になったが、ブービーの15着惨敗。その前の天皇賞・春も14着と凡走しているだけに、評価はかなり落ちているはずだ。が、天皇賞は58キロを背負ってのGI挑戦。ともに初めての経験だっただけに荷が重かった。距離も長かったようだ。
そして前走は、その盾の疲れから調整がはかどらず、久々の影響もあって重め残りの状態。それに大外枠を引いたことでスムーズな競馬ができなかった。よって、前2走は参考外。あらためて注目すべきなのだ。
とにかく新潟コース、左回りはスムーズで実績十分。昨年の新潟記念でも3着(13番人気)に頑張っている。その時は3カ月半ぶりの実戦で、前々で決まった緩い流れでの好走。評価していいだろう。
今回は前走後、放牧でリフレッシュ。立て直して、ここ目標にじっくりと乗り込まれ、調整されてきた。
「前走後すぐ、ここに照準を合わせて仕上げてきた。馬体が締まって前走とは比べ物にならない状態」
こう言って体調のよさを強調するのは藤原英調教師だ。なるほど、1週前の追い切りはリズミカルで実に軽快だった。ならば巻き返しは十分だ。
祖母は女傑ダイナカール(オークス)で、近親、一族にはエアグルーヴ(オークス、天皇賞・秋)、ルーラーシップ(香港クイーンエリザベス2世C)、ドゥラメンテ(皐月賞、ダービー)など活躍馬がキラ星のごとくいる良血。初重賞制覇のチャンスと言っていい。
逆転候補は、ルミナスウォリアー。前走の七夕賞は8着と期待を裏切ったが、休み明けで快勝した前々走の反動があったようだ。落ち着きを欠いていたことを思うと“2走ボケ”だったのだろう。
しかし、この中間は落ち着き払って好気配。相性のよい新潟だけに、あらためて注目したい。
小倉2歳Sも混戦模様。人気薄のドゥモワゼルに期待する。前走の函館2歳S(5着)は重め残り。それでも見せ場があったほど。馬体が締まった今回は、未勝利勝ちした時のような、小気味よい瞬発力を見せてくれるはずだ。