政治部記者は森氏の「弱点」をこう指摘する。
「森氏が東京五輪を発案したのは、代々木(渋谷区)をスポーツの聖地にするため、世界に誇れる施設を造りたかったから。小池氏の主張に世論が後押しされて、競技会場のコスト見直しがまかり通れば、代々木の再開発にも費用削減の手が伸びる可能性は大きい。それは絶対に阻止したいのです」
森氏の危機感はそれだけではなかった。これまで「後見人」として支えてきた安倍晋三総理(62)も、小池氏の「懐柔役」を意外な相手に頼んでいた。
「7月30日の夜、安倍総理は橋下徹前大阪市長(47)と都内で会いました。翌日は都知事選が行われ、『小池圧勝』が予想されていたこともあり、『橋下さんは影響力があるので、舛添要一前都知事(67)の時のように、ツイッターで小池さんを批判するのは控えてほしい』とお願いしたそうです」(官邸担当記者)
都知事選の4日後には安倍総理は小池氏と会談を行い、完敗を認めて今後の連携を強めることで一致。それでも小池氏は都知事選で推薦されなかった時の憎しみは忘れていないそうだが‥‥。
「小池&安倍」のタッグ誕生は、都議会にも影響を及ぼしている。小池氏は都知事就任から豊洲市場の移転問題などで、「都議会のドン」内田茂都議(77)が率いる都議会自民党と対立。が、9月28日の都議会本会議で行った所信表明では、
「なれ合いや根回しでコトを丸く収めるのではなく、都民の前で決定過程をつまびらかにご覧いただく」
「お互いに議論をぶつけ合う。それが新しい都政における都議会の姿だ」
などと、小池氏から「挑発」されても、60人を擁する最大会派の自民党都議の席から野次が飛ぶことはなかった。
「演説中に内田氏は小池氏を一度も見ることなく、終了後も拍手をしなかった。周りの自民都議も内田氏の様子を見て、拍手をやめました」(都政担当記者)
なぜかこの日から内田氏は都議会でマスクを常用。
「今は何をしても目立ちすぎるため、自分は表舞台から消えて、院政を敷くように裏で動きたいそうです」(前出・都政担当記者)
おとなしくしながら、小池氏が自滅するのを「待ち伏せ」する作戦に切り替えたようだ。ある自民都議は小池氏とのバトルに余裕を見せる。
「火遊びしていたら、思ったよりも火の回りが早くて大火事になった状態。どうやって火消しするんだろ」
だが、同じ自民党でも安倍総理の周辺は小池氏を擁護。執行部の一人は親しい記者にこう話したという。
「これまで内田さんが牛耳っていた利権を奪還するチャンス。小池さんには徹底的に追い込んでほしい」
内田氏が、ドンのイスから転げ落ちるのを待っている議員もまた多いのだ。