小池都知事が強調した豊洲の「安全性」についても疑問符をつけざるをえない。先の安全宣言以降も、度重なる不備が発覚したからだ。
開場1カ月前の9月11日、敷地内で地面と建物の接点部分にひび割れがあることが明らかになり、さらに25日には、驚愕の動画がネット上にアップされた。
〈開場間近の豊洲市場で臭い水噴出 マジか〉
と題された投稿映像を見ると、確かに、敷地内のマンホールから大量の水が噴出しているのがわかる。
「なんか、臭いね‥‥。臭いよね」
こんな撮影者のつぶやきがテロップで表示され、さらにカメラは、謎の水に混入した白い異物をしっかりと捉えていた。
新市場問題に詳しい建築エコノミストの森山高至氏が解説する。
「噴き出たのは汚水処理前の地下水です。都の説明では、処理システムに何か付着物が詰まって起きた不慮の事故だということですが、『クサイ水』の成分は、まだ明らかにされていません。ただ、ニオイがするということで、何らかの化学物質が混入しているのは間違いないでしょう」
新市場に出入りする関係者はこうも語る。
「伝え聞いた話ですが、基準値未満ではあるものの、『クサイ水』にヒ素が混入していたとか‥‥。今現在、市場内のトイレの水道には『これは飲み水ではありません』と、デカデカと貼り紙がしてあるんです。都は『11日の開場時には安全な水に代わる』と説明しているんですが、我々も蓋を開けてみないとどうなるかわかりません」
新市場にまつわる「水」の問題は予断を許さない。先の森山氏はさらなる疑念について、
「同様の処理システムが、豊洲の敷地内には何カ所も埋め込まれています。つまり、あらゆる場所で汚染水の噴出の可能性があり、化学物質の量によっては、それに触れた関係者や来客までもが健康被害に遭うリスクがあるのです。もっと言えば、新市場で仲卸業者らが使用する水は、海水をくみ上げて浄化したものなのですが、実はくみ上げるポイントの水質調査はなされていない。地下水に汚染物質が含まれているのは確定的で、そこから流れ出ている可能性があるにもかかわらず、です」
また、別の市場関係者からは、こんな意見も飛び出した。
「築地の買い付け業者や仲卸業者用の駐車スペースに比べ、豊洲のそれは50台以上少ないんです。来客用の時間貸し駐車場も数が少ないし、周辺に大型の駐車場もない。正直、開場後は市場周辺で路上駐車が横行しそうな気がします」
11月には都心と臨海部を結ぶ環状2号線が一部開通し、豊洲へのアクセスが強化される予定だが、買い物しようと思っても、車を止める場所がなくては意味がない。
この交通パニック危機を差し置いても、まさに「前門のネズミ、後門の汚染水」と言うべき緊急事態。庶民の口に入る食材を扱うだけに、サラッと水に流すわけにはいかないのだ。