今週はクラシック最終戦「菊花賞」が京都で行われる。3歳世代“3強”のうちの2頭、サトノダイヤモンドとディーマジェスティの一騎打ちムードが漂う中、万券王・水戸は、レインボーラインを波乱の使者に指名した。
牡馬クラシック3冠、その最後は3000メートルの長丁場で覇を競う菊花賞。筆者としては、好きな重賞の一つで、期待にたがわない白熱した好レースが毎年繰り広げられている。3000メートルという距離は3歳馬にとって初めての経験であり、それゆえ、予想だにしなかったドラマが生まれることが少なくない。それが予想する者にとっては、たまらない魅力になっている。
今回の顔ぶれからは、皐月賞3着、ダービー2着のサトノダイヤモンドと、皐月賞馬でダービー3着のディーマジェスティが最右翼と見られており、異を唱える者は誰もいないだろう。
この両馬は、ともに菊花賞の前哨戦、東西のトライアルを制して秋の好スタートを切った。であれば、ますます一騎打ちムードが高まるというもの。
しかし、今年ほど伏兵陣が多彩な菊花賞は、そうなかったのではないか。サトノダイヤモンドもディーマジェスティも、血統から推し量って長丁場に対する不安はない。ならば、この両馬のいずれかを本命視するのが、馬券の筋というものだろう。
ただ、両馬とも前走のトライアルは辛勝だった。ダービー馬マカヒキ(今回は出走していない)を含め、3歳牡馬“3強”と評していいと思うが、春のクラシック戦線で、この3頭と差のない競馬をした馬が何頭か出走してくるうえに、新興勢力も少なくない。こうした伏兵陣の中にはトライアル3強に食い下がった馬もいる。だからサトノダイヤモンド、ディーマジェスティを“絶対視”するわけにはいかないのだ。
馬単が導入されてからの過去14年間、その馬単で万馬券になったのは6回(馬連では3回)。この間、1番人気馬は5勝(2着1回)、2番人気馬は0勝(2着3回)。データからも本命サイドで決まりにくいGIであることがわかる。
目下のところ、6年連続で連勝の万馬券は出ていないが、そろそろ──という気にもなってくるではないか。3000メートルの距離ともなると、「血統」が占める比重が、他のレースより大きくなる。血統的に見て長丁場では‥‥と首をかしげたくなる馬が勝ったのは、馬単導入後、昨年のキタサンブラックぐらいだろうか。同馬は、父が菊花賞も勝った怪物ディープインパクトの全弟だけに問題ないと見る向きも多いが‥‥。
ということで、穴党としては、やはり伏兵陣の中から。それも「長丁場はドンとこい!」という馬に目をつけたい。
狙いはズバリ、レインボーラインだ。勝ち鞍3勝のうち2勝がマイル戦。良績はマイルに集中しており、3000メートルはどうか、と見られてもやむをえない。
が、息の長い末脚が武器で、相手なりに走る勝負根性が身上の馬。札幌記念で古馬一線級に食い下がったのを見て、関係者は「長丁場も大丈夫」と判断。その後は菊花賞一本に備え、万全を期して調整してきた。それが、まず好感が持てるところである。
菊花賞を勝ったオルフェーヴル、ゴールドシップを出したステイゴールドが父で、祖母の父は、菊花賞2着のレインボーアンバー。距離を不安視するどころか、3000メートルは望むところであろう。
牡馬にしては小柄だが、かき込むようなバネの利いた走法から道悪も上手なはず。晴雨にかかわらず、大きく狙ってみたい。
逆転候補は、レッドエルディスト。神戸新聞杯は余裕残しの状態で、差のない3着。上がり目は十分で、直線の長い京都は得意とするところだ。オージールールズ(GI仏2000ギニー)、アレグレット(GIロイヤルオーク賞)、アルボラーダ(GIチャンピオンS)など近親、一族に活躍馬が多数いる良血。チャンス十分と見た。