今週は上半期を締めくくる「宝塚記念」が阪神で行われる。人気の中心はキタサンブラックだろう。ただ、過去10年の1番人気馬の成績は〈2 4 2 2〉と、勝利したのは2回のみ。はたして、春GI3連勝となるか──。
中央競馬上半期の掉尾を飾るのは関西版グランプリ、宝塚記念だ。暮れの有馬記念に比べてフルゲートになることは少ないが、今回も11頭という少頭数の競馬になった。ちょっぴり残念ではあるが、それでもキタサンブラックを筆頭に顔ぶれは悪くない。
そのキタサンブラックは今年になってさらに成長。充実ぶりは目覚ましく、今年初戦の大阪杯、そして前走の天皇賞・春とGIを連覇した。向かうところ敵なしといった快進撃ぶりを見せている。であるなら、暑さも盛りを迎える今、無理をして強敵にぶつける理由はないとして、少頭数競馬になるのもやむをえないところだろう。
では、馬券もキタサンブラックでアタマは不動。この馬を軸にいろいろ考えればいいということになるが、はたして、無条件にそうだとうなずいていいのだろうか。
大阪杯は有馬記念2着以来3カ月ぶりの実戦だったし、天皇賞・春は驚異的なレコード決着だった。だから当然、陣営としてはその反動を恐れてレース後、即座にこの宝塚記念にGOサインを出してはいない。むしろ、以前から視野に入っていた海外遠征(凱旋門賞挑戦)が念頭にあっただけに、自重するのではないかとも見られていた。
表向き疲れもなく、ここに向けて順調に調整されており、臨戦態勢は万全とされているが、実際のところはどうなのだろう。一部には楽をさせて完璧とは言いがたいと見る向きもあり、今週の最終追い切りを見極めたいところだ。
いずれにせよ、この馬に全幅の信頼を寄せきれるか否かが最大のポイントで、力を出せる状態に仕上がっていると判断できるなら、この馬を外すのはまず無謀と言っていい。
データからは、どうなのだろう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連3回)。1番人気馬は4勝(2着4回)。2番人気馬は2勝(2着2回)。必ずしも人気馬を“絶対視”していいことにはならないようだ。
年齢的には、00年以後の17年間に広げてみると、4歳馬が圧倒的に強く9勝(うち牝馬1勝)で2着6回。続いて5歳馬の5勝(うち牝馬1勝)、2着8回というもの。
であるなら、やはり今がピークと思える5歳馬のキタサンブラックを中心視せざるをえなくなるが、勝ち鞍で4歳馬が5歳馬を上回っているのであれば、穴党としては、4歳勢に目を向けてみたい。
その4歳馬は、シャケトラ、ミッキーロケット、レインボーラインの3頭。ならば天皇賞・春でも人気になったシャケトラ(3番人気・9着)の名を真っ先にあげなければならないだろう。その天皇賞は、さすがに初めて背負う58キロがこたえたようで、期待を裏切る結果になったが、大きく負けたわけではなく、この敗北を踏み台にさらなる飛躍を見込んでいいことになる。
ただ、そうであっても、穴党として狙ってみたいのは、この馬ではない。イチオシしたいのは、レインボーラインだ。
まさに今回は走れる条件がそろっている。シャケトラもそうだが、この馬も負けず劣らず阪神コースとの相性がいい。切れる脚というよりも、いい脚を長く使えるタイプだからだ。こちらは4カ月ぶりの実戦を二度使われ、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りも軽快かつリズミカルだった。
「本来の姿に完全に戻った。というより心身ともにたくましく成長。最高と言っていい仕上がりにある」
厩舎スタッフはこう口をそろえる。ならば、キタサンブラックの足をすくうパフォーマンスを期待していいことにならないか。
菊花賞(2着)をはじめGIで差のない競馬をしてきた馬。底力のあるステイゴールド産駒で、セキテイリュウオー(天皇賞・秋2着2回)など近親、一族に活躍馬が多くいる血筋。梅雨時は道悪の可能性も高く、その場合は、よりチャンス。いずれにせよ“一発”があって不思議はない。