今週は中山で「オールカマー」が行われる。過去10年で1番人気馬が勝利したのは2回のみ。GI馬とはいえ過信禁物だ。一方、阪神の「神戸新聞杯」は同条件で5回。しかも2着3回で8連対を記録している堅めの傾向だ。
産経賞オールカマーが今週のメイン。毎日王冠同様、天皇賞・秋の前哨戦と位置づけられている重賞だが、毎日王冠の2週前に行われ、中山が舞台ということで、その先にある暮れの有馬記念を、また牝馬ならば同じ2200メートルで争われるエリザベス女王杯を意識して出走してくる馬が少なくない。
ゴールドアクターは、まさにそれ。昨年の有馬記念の覇者であり、最終的にはGP連覇を目指しており、秋の初戦をここに置くのは、理にかなったことだ。
マリアライトも同様。このあと、昨年と同じくエリザベス女王杯を目指すのか、ジャパンCに挑むのかは微妙だが、昨年の雪辱を果たす意味で最終的には有馬記念を目標にしている。
いずれにしても、この両馬が秋初戦をここに据えたとあっては、注目しないわけにはいかないだろう。
ワンアンドオンリーの存在も無視できない。長らく低迷しているが、相変わらず体調はよく、何かきっかけさえあれば巻き返しがあっていいはず。一息入れて立ち直りつつあり、どんな競馬を見せてくれるか、興味は尽きない。
他にもカレンミロティック、サトノノブレスと役者はそろっており、盾の前哨戦にふさわしい好レースが期待できそうだ。
簡単にデータをひもといてみようか。馬単が導入された02年以降の14年間で、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連は0回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)。2番人気馬は3勝(2着3回)。本命サイドで決まるとは言い切れないものの、相対的には中穴傾向、そう大きく荒れるということはない。
年齢的には生きのよい4、5歳馬の活躍が目立つが、00年以降の16年間で最も勝ち鞍が多いのは6歳馬の6勝。7歳馬も2勝しており、キャリア豊富な古豪は要注意ということだ。
今年はどうか。前述したゴールドアクター、マリアライトが人気を分け合うことになるのだろうが、休養明けになる馬が多く、下馬評どおり決まるかどうかは微妙なところだ。
穴党としては人気両馬から入るわけにはいかない。狙ってみたいのは、ツクバアズマオーだ。以前は、ひ弱さがあって連続して使えなかったが、放牧休養後の昨春から本格化、メキメキと頭角を現すようになってきた。休養後は【1】【1】【5】【3】【1】【3】【3】【4】着と500万条件から一気にオープンまで上り詰め、善戦し続けている。
能力が高いからこそで、尾形充調教師は、
「まだ上がり目は十分。重賞を勝っていい馬」
と、期待感たっぷりに語っている。
オープン昇級後の前3戦は、北海道(函館、札幌)でのもの。一息足りなかったが、強敵相手に善戦してきたことは地力強化につながっているはずだ。
この中間は順調そのもの。ここ目標に乗り込まれ、臨戦態勢をきっちり整えている。そして今回は、乗り慣れた実績がある中山での競馬。「強敵相手でも差のない競馬に持ち込めるはず」(前出・尾形師)と、陣営に力が入るのもうなずけるというものだ。
祖母はGIイエローリボンSを制した活躍馬。血統的にも重賞を勝っていい存在だ。以前と違ってふっくらと丸みが出て体つきがよくなった。それも成長の証しだろう。とにかく最近になくいい雰囲気で、良馬場条件に“一発”があっても不思議はない。
菊花賞トライアル・神戸新聞杯は、ダービー2着のサトノダイヤモンド以下、さすがに顔ぶれがいいが、主力に見たいのはミッキーロケットだ。春の疲れも取れ、休養後の前3走は【1】【2】【1】着。中間も順調で、強敵相手にも好勝負必至だ。
逆転候補はレッドエルディスト。ここ目標に好仕上がりで、母系はGIの宝庫。あか抜けた好馬体で素質はピカイチだ。本番・菊花賞では、さらにおもしろい。