いよいよ“9月解散”→総選挙が濃厚だ。離党者相次ぐ民主党は崩壊必至、消費増税で手を組む自民党の躍進も絶望的とあって、永田町では今、第3勢力となって政権奪取を目指す思惑が渦巻き、水面下攻防は激化の一途。その「欲望の人間関係」を完全公開する!
「民意を軽く考えた」総理
国論を二分する原発再稼働に続き、消費増税を先送りせずに決断した実績をアピールする野田佳彦総理。9月末の民主党代表選でも、無投票再選に自信を深めているという。
だが、その思惑は崩れそうだ。政治評論家の本澤二郎氏が解説する。
「野田総理の延命は無理でしょう。『9月解散』の可能性は9割と見ていますが、消費増税で手を組んだ自民党の谷垣総裁は、自分のクビが危ない状況なので9月末の総裁選前に解散し、選挙で結果を残したい。そのために内閣不信任案を提出するでしょう。これに公明党や小沢新党などの野党が乗っかります」
小沢新党「国民の生活が第一」(以下、「生活」)だけでなく、去る7月17日には民主党女性参院議員3人が離党、4月に国民新党を離れていた亀井亜紀子参院議員が加わり結成された新会派「みどりの風」と、分裂が相次ぐ野田・民主党だけに、「不信任案」が否決される可能性は少なそうだ。
さる政治部記者が話す。
「原発再稼働や消費増税など民意に対する鈍感さを嘆く声は、民主党内からも聞こえてきていますからね。野田総理は、9月にはその参加に賛否が分かれるTPP(環太平洋経済連携協定)への参加表明を予定し、10月には事故が多いとされ配備への猛反対が続く米軍の新型輸送機オスプレイが沖縄に配備される運びとなっている。これに『民意を軽く考えている』と、見通しの甘さを指摘する声が湧き上がっています」
そんな野田批判は、何も永田町だけではない。3月にスタートした総理官邸前の脱原発デモは、6月には4万人を超え、7月17日に代々木公園で行われた「さよなら原発10万人集会」には、17万人(主催者側発表)もの市民が集結した。それこそ「第3極」による新政権誕生につながる動きだという。
前出・本澤氏が話す。
「次の総選挙で想像できなかったような政治変動が起きてくる。国民の意識が変わってきているんですよ。『増税』は『生活』に響きますよね。『原発』はイコール核ということで『命』の問題です。つまり『生活』と『命』を守るために一般市民が立ち上がった。この動きは、政党や組織が動員して国会を包囲した60年安保ともまったく違い、異質なものです。一般市民が自発的に自由に批判して動きだした。その受け皿がどこになるのかが注目されるんです」
本澤氏によれば、国民の思いにようやく目を覚ました政治家が、野田民主党を見限り、新政党「生活」を立ち上げた小沢代表であり、党員資格3カ月停止の身でありながら野田総理に「自民党野田派」と、批判を続ける鳩山元総理だと言う。
本澤氏が続ける。
「小沢新党の掲げる『脱原発・(消費税)10%NO』は、世論なんです。2人は必死に訴えている。それを納得している人たちがデモに集まっていると見るべきだと思います。確かに小沢代表は負のイメージを報道されがちですが、インターネットの世論調査を見ると、小沢に賛成という声も上がっている。『反原発』『反増税』に加え、『反TPP』を加えた3つで戦えば、さらに支持層が増えるでしょう」