糸井にはオリックスが「4年総額18億円」という破格な条件を提示していると見られるが、11日時点で阪神移籍が決定的と見られている。裏で暗躍するのが、メジャーで活躍するダルビッシュ有(30)、前田健太(28)、岩隈久志(35)なども兼任するエージェントの存在だという。だが、球界では一癖ある人物として知られているようだ。さるパ・リーグ関係者が語る。
「糸井はダルビッシュに紹介された義理を重んじ、彼に全てを任せてきました。その結果、12年オフ、エージェントが用意した敏腕弁護士が年俸やメジャーへのポスティング移籍を強硬に要求し、古巣・日本ハムと衝突した」
糸井は日ハム残留が本心だった。周囲にも相談を繰り返し「どうしたらいいんですか?」と聞かれた当時のチームメイト・稲葉篤紀氏(44)からは「お前が決めなきゃ」と諭されたそうだ。だが、キャンプ直前にトレードが決まり、糸井は鎌ケ谷球場のベンチ裏で涙を流し、逃げるように荷物を運び出したという。栗山監督には泣きながら「すいません」と謝った。
「今回もエージェントはより条件のいい球団に決めてくるはずで、阪神が大枚をはたけば決まるでしょう。今回は糸井も移籍に前向きで『セ・リーグならキャリアハイを残せる』と考えているようです。おまけに家族が東京にいるにもかかわらず、“宇宙人”らしさか、関西にとどまりたいという特別な願望があるといいます」(前出・パ・リーグ関係者)
阪神も“虎の恋人”には糸目をつけない模様だ。
「『1番ライト』構想がすでに固まっているようです。今季チーム打率最下位に終わり、『攻撃力向上』を掲げる金本知憲監督(48)にとって、打って走れる糸井はまさに喉から手が出るほど欲しい。球団内から『糸井はトラの救世主だ』との声まで聞こえてくるほどです」(スポーツ紙デスク)
皮肉にも大田を切り捨てたうえで外野手補強が進まない巨人は、日ハム・陽岱鋼(29)にも白羽の矢を立てたのだ。
「陽はシーズン中のFA権取得時には残留する気持ちでした。FAで出た先輩たちが活躍していないことを知っているため、いかに日ハムのプレー環境が整っているかを理解しています。ですが、今年8月に肋骨を骨折しながらも出場を続けていたことで、地元・台湾では『日ハムはケガをしても試合に出させられる最低な球団だ』との声が上がっていた。現地の代理人から『台湾での人気を失わないためにも』と説得され続け、自身もこの先、試合に出られる見込みが少ないと思ってFAに踏み切ったんです」(NPB関係者)
知名度に出場機会。まさに巨人にうってつけ。移籍は決まりと思いきや──。
「糸井や大島の調査に時間がかかり、完全に出遅れ。そもそも環境重視の陽は、日ハムのコーチ時代に長らく世話になった福良淳一監督(56)率いるオリックスで決定的です。まして巨人はお家芸の札束攻勢でももはやオリックスに負けるともっぱら。テレビ収入が減り、招待券をバラまく状況の巨人は財力で一番ではなくなっています。もちろん、リタイア後の再就職で、有利な面はいまだにありますが‥‥」(球界関係者)
さまざまな思惑が入り混じる補強戦線だが、腹づもりどおりにいった選手や球団が来季笑っているとは限らない。