3月31日をもって「報道ステーション」(テレビ朝日系)を降板した古舘伊知郎(61)が、フジテレビの冠番組で本格復帰を果たした。ところが12年間にわたり、報道の第一線で活躍した名物アナの目には、フジの現場が頼りなく映ったのか。舞台裏でダメ出しを連発しているという。
「引っ掛かってみたらおもしろいことが見えてくる番組」──こんなコンセプトで11月6日にスタートした新番組「フルタチさん」は、ちまたにあふれる些細な疑問を取り上げる情報バラエティ。古舘にとって、「報ステ」降板後の初レギュラー番組だけに、かなり力が入っているという。
「番組の内容にはかなり前の段階からいろいろ口を出していました。恐らく不安でしかたないんですよ。『報ステ』時代は所属先の古舘プロジェクトが制作を請け負っていたため、周囲のスタッフは身内も同然。現場は古舘さんを中心に強い信頼関係で結ばれていた。しかし、今回はフジが制作の主導権を握っていて、正直、危なっかしく思っているんじゃないですか? おおまかな番組コンセプトについては納得しつつも、『何でそのネタなの? それで勝負になるの?』などと収録前から不安を口にしていました」(番組関係者)
その不安は的中する。第1回の視聴率は8.2%。人気番組がひしめく日曜夜の“激戦区”とはいえ、トップの「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)の19.4%にダブルスコアで完敗したのだ。テレビ解説者の木村隆志氏が敗因について語る。
「明らかに古舘さんがしゃべりすぎていますね。苦戦が続くフジの番組で司会を務めるにあたって、『自分の持ち味を出し切ろう』という意気込みは伝わってきますが、周囲は誰もツッコミができず、空回りしている印象です。サブの山崎夕貴アナも古舘さんの扱いに慣れておらず、無難な相づちを打つだけ。『ボクらの時代』(フジ系)で共演した宮根誠司さんくらいアクの強い“相棒”が欲しいところですね」
得意のトークに熱が入りすぎる理由の一つに、現場への不信感があると、フジ関係者は証言する。
「スタジオ収録の合間に、『ちょっと長いんじゃないの?』とVTRに不満を漏らすこともあったそうです。それも番組をおもしろくしたいという思いが強いからなんでしょうが‥‥」
スタジオでVTRにケチをつけたかと思えば、つい先日もみずから現場レポートを行った直後に、
「え、もう終わり? こんなんでいいの?」
と、取材の甘さを指摘する一幕もあったという。芸能評論家の平田昇二氏が、その気持ちを推察する。
「88年から『夜のヒットスタジオ』のメイン司会を担当していた古舘さんは、フジの黄金期を体感しているわけです。当時は海外の大物アーティストを衛星生中継で出演させるなど金に糸目をつけずにいろんなサプライズを仕掛けていた。その熱気を肌で知る古舘さんには、今の番組スタッフに冷めた印象を抱くのも、しかたないかもしれません」
こんなありさまでは、古舘がサジを投げるのも時間の問題かもしれない。11月13日の第2回放送では番組の冒頭で、
「今日は2回目。いつまで続くんでしょうか」
と、早くも“打ち切り”をネタにする始末だった。
「あの自虐ネタは、古舘さん流のリップサービスですよ。ネットなどで“大コケ”と叩かれるのは想定内。番宣のインタビューなどでも、低迷中のフジで番組を持つことについて、『苦役列車』や『ワケあり物件』とコキ下ろしていますが、そうすることでスタッフを鼓舞する狙いがあるのでしょう。1回目の視聴率は2桁に乗りませんでしたが、日テレ、NHKに次ぐ3位。フジの局内では大健闘との評価がもっぱら。現場の士気はかなり高いですよ」(別の番組関係者)
司会だけでなく、社員教育もフルタチさんにお任せしてはどうか。