忘年会シーズンがやってきました。つきあい酒が続くこの時期を上手に乗り切るには、会食の翌日をヘルシーにすることです。食べすぎたらカロリーを控えめに、飲みすぎたら翌日は飲まない。「楽しく飲んで翌日に節制」と覚えておいてください。また、会社の上司や取引先との接待酒は、心から楽しく飲めません。粗相があってはいけない、と緊張して酔えない酒です。義理を重んじるのも大事ですが、2回に1回は不義理をしてもいいと思います。
一方、飲み会の予定を1週間に何回も入れると、さすがに体ももちません。せいぜい3~4日でしょう。
さて、ここで問題です。ダイエット中に忘年会の予定が2つ入りました。1つは焼き肉、もう1つは寿司。どちらかに出席する場合、選ぶべきはどちらでしょう。
寿司は8割が米であり、ダイエット中に食べるのはオススメできません。それでなくとも塩分が多く、寿司とともに酒も飲みます。日本が生んだ食文化ではあるものの、体にとっていいメニューとは言えません。回転寿司チェーンができたことで身近な食べ物となりましたが、もともと寿司は、祭りや祝い事で食べる「特別なごちそう」です。焼き肉の場合、寿司よりはヘルシーですが、ダイエットをしている以上、最後に食べるビビンバや冷麺はパスしたいところ。野菜サラダやサンチュを中心に食べるなら、寿司よりはカロリーも抑えられます。
どちらかを選ぶなら「野菜中心の焼き肉」が正解となります。忘年会が続いた場合、翌週のカロリーを抑えて帳尻を合わすのもありでしょう。出席しなければならない場合、昼食を軽くして夜に備えるのも一つの手法です。
ただし、仕事のパフォーマンスを維持するため、朝食は普通に食べてください。朝食抜きというダイエット方法を選ぶ人もいますが、朝食を抜くと前夜に食べた分で体と頭を使うことになり、体が飢餓状態になります。
ダイエット以上に仕事も大事であり、朝は少しでも食べるべきです。
朝食を抜いて昼食を多めに食べるパターンも、食後に眠くなり、午後のパフォーマンスが落ちます。
「3食を抜かずに少しずつ減らす」のがダイエットの基本であり、3食とも、御飯や麺を少なくする低糖質ダイエットとすると、ダメージは少なくなります。
ただし、低糖質はオススメしますがゼロ糖質はダメです。糖質が不足すると体のパワーが不足して、常に疲れたような状態に陥ってしまいます。肉体労働の人が食事を多くとるのも、それだけパワーを必要とするからですが、普通のサラリーマンも、少量でいいのでパンやおにぎりを適量食べてください。御飯なら1食につきお茶碗1杯、1日の摂取カロリーで考えると2200キロカロリーぐらいが適量と言えます。
もっとも、手っとり早く食べられる食事といえば糖質しかありません。昼食を15分で済ますなら弁当か牛丼、うどんやソバ、あるいはコンビニのおにぎりやパンとなりますが、これらは全て糖質です。こうしたメニューを食べている人は、今の糖質をしだいに減らして半分ぐらいにすると、理想の糖分になるでしょう。
ちなみに、こうした糖質ダイエットを続けた場合、最初の1週間や10日は体内で代謝の切り替えが始まるため、体脂肪率は思ったほど減りません。代謝効率のいい人ほど痩せにくいので、「効果がない」わけではないのです。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。