いまや年末の風物詩ともなっているフィギュアスケート全日本選手権。歴史は古く、1930年に始まった。羽生結弦選手が欠場となった今年の大会が第85回となるのだが、ここに至るまでにはさまざまな紆余曲折があったという。昭和5年からの開催となれば、戦争で中止したこともあっただろうことは容易に想像がつくが、それだけではない。
「第13回、第14回大会が戦時中で中止となりました。戦後の第15回から再開されましたが、第17回の大会は会場が諏訪市の天然スケートリンクで暖冬のために中止。第20回は参加者が男子シングルの1名、女子は参加者がなかったために中止(女子は第18回も参加者なく中止)となっています。今は会場となるスケートリンクの氷の下がコンクリートか空洞かで滑りやすさが違うと言われていますが、天候に左右される天然リンクでの試合を考えたら雲泥の差の環境です。そんな全日本選手権の歴史や日本のフィギュアスケートの変遷にも思いを馳せて観戦してみるのもおもしろいのではないでしょうか」(スポーツライター)
フィギュアスケート自体、洞穴の中の氷の池で滑ったことが始まりなのだとか。進化した靴やリンクではなく、昔の道具と天然リンクで演技してみたら、今の選手はどれくらい力が発揮できるのか。一度見てみたい気もするが。
(芝公子)