中畑氏にとって、残された究極の夢は古巣ジャイアンツの監督就任だ。巨人OB会副会長も務め、古巣への愛情は人一倍強い。
「長嶋茂雄終身名誉監督(82)も推していて、『いつの日か、キヨシに監督をやらせたいんだ』というのは昔からの口癖です。それだけに、由伸監督が結果を出せない流れを受けて、中畑氏もやる気になっています」(古参の球団関係者)
実は球団内でも中畑巨人待望論は「少数派」ではなかった。「かつて低迷していたベイスターズで、若手育成の道筋を作った手腕は侮れない。何よりも、派手な言動でメディアを引き付けてくれれば、多くのファンも付いてくるはず」と、肯定的に分析する声は絶えない。
「A氏はこうした球団内の声も汲み上げたうえで、中畑氏の担ぎ上げを画策している。ちなみに山口社長もA氏の指摘には『的確で、かつ的を射ている』と、全幅の信頼を置いていると言われます」(古参の球団関係者)
逆風にさらされる由伸監督だが、そもそも指揮官をやりたくて就任したわけではない。原辰徳前監督の後任がなかなか決まらずに悩んでいた球団上層部が15年オフ、翌シーズンも現役でプレーするつもりでいたところを説得して、半ば強引に「引退⇒監督」の流れを承諾させたのである。由伸監督に「やる気がない」ような姿勢が見え隠れするのも、ある意味、しかたがないことなのかもしれない。
「渡邉主筆が由伸を監督に据え置こうとしているのは、無理やり引退させてしまった過去の負い目があるからです。それで再びクビを切ったら、由伸はもちろん、ファンから猛反発を受けることを警戒している。主筆は球団経営に関わって誰よりも長いからこそ、ファンを敵に回した時の怖さを知っているんです」(読売関係者)
なんとか由伸監督を続投させたい渡邉氏ら数少ない由伸擁護派にとって、実に3年ぶりとなる巨人の今季リーグV奪回は、是が非でも実現させなければならない“最低ライン”だろう。ところが、今季もチーム内には悲しいかな、監督問題だけでなく随所で頭の痛い難題が浮上しているのだ。