事実上俳優業を引退していた根津甚八が昨年12月29日、肺炎のため永眠した。69歳だった。
根津は01年に眼球を上手に動かすことができず、視力も低下し、さらに呂律も回らなくなる右眼下直筋肥大という難病を発症。それでもその年のNHK連続テレビ小説「ほんまもん」などに出演し俳優を続けていたが、04年公開の映画「るにん」の出演を最後に活動休止。15年に“1度きりの復帰”として映画「GONINサーガ」に出演。病気の身体を気にする根津に対し、石井隆監督が熱心に出演交渉したという。
「根津は04年に自家用車運転中に自転車を巻き込む交通事故を起こして以来、ほぼ俳優活動は辞めていました。目の病気とともに持病の椎間板ヘルニアも悪化し、10年に妻の根津仁香氏が書いた『根津甚八』(講談社刊)の中で、追い打ちをかけるように俳優引退を表明していましたが、それほど根津に対する俳優復帰を望む声は大きかったんです。根津はもともと完璧主義だったために視力が低下するのと同時にうつ病も発症し、仁香氏は厳しい日々を過ごしていましたよ」(映画製作スタッフ)
日本芸能界にとって、惜しい人が逝ってしまった。