この産業構造転換の原動力こそ、「トランプ砲」として恐れられるツイッター。09年に始めて以来、ツイート数は実に3万4300回に上るが、真偽については常に疑問が付きまとう。
「16日には長女のイヴァンカさん(35)と間違えて、別人にツイートをしてしまった。その真意に共和党の議員が動揺しており、今後党内でも問題になるでしょう」(在米ジャーナリスト)
とはいえ、「トランプ砲」で、トヨタは5年間で100億ドルの対米投資を約束。誤爆でも効果絶大なトランプ砲は、就任後も“乱射”されるようだ。
激変する世界情勢で米中から“踏み絵”を迫られるのは、朴槿恵大統領(64)が弾劾訴追された韓国である。朴政権はTHAADミサイルの韓国配備を決定。これに北朝鮮だけではなく、中国も猛反発した。中国での韓国化粧品の輸入不許可など、中国当局の“限韓令”が打ち出されている。どちらの大国につくかの選択は、韓国大統領選の争点の一つとなる。
「1月15日の段階で支持率トップの文在寅氏(64)と2位の潘基文氏(72)は、自分が大統領になってもTHAADミサイル配備には反対しなかった。つまり、アメリカ重視を意味したのです」(近藤氏)
南沙諸島では、人工島を造成して実効支配を進める中国とフィリピンの関係にすきま風が吹きそうだ。「オバマ嫌い」のドゥテルテ大統領(71)は、昨年10月、習近平国家主席(63)との会談で、総額240億ドルの経済協力を引き出し、「親中派」を宣言。が、トランプ氏には好意的で“寝返る”可能性があるのだ。
「フィリピンから西に約200キロに位置するスカボロー礁は要所で、5年前にフィリピンから中国が奪い取りました。中国が防空識別圏を設定したら他国の軍艦が入れなくなる。安倍総理はその危険性を知らせるため、1月中旬にアメリカの名代でフィリピンを訪問したのです」(前出・近藤氏)
一方、急激な経済成長を遂げたベトナムは“バランス外交”で品定めの様子。
「昨年1月の共産党大会でグエン・フー・チョン党書記長(72)を中国がバックアップ。対抗馬のグエン・タン・ズン氏(67)をアメリカと日本が支持する権力闘争が起きた。軍配は中国に上がり、それから領土問題の西沙諸島についてあまり言わなくなりました。今は親中派ですが、賢い国なのでカムラン湾を自由貿易港にしてアメリカの軍艦や自衛隊を入れて関係を続けています」(前出・近藤氏)
最後に、経済戦争間近の米中関係について、前出・近藤氏が言う。
「米中の国交正常化以降、アメリカ大統領はオバマ氏以外、就任時が最も中国に厳しかった。時間がたつと中国ビジネスのうまみを知って距離が近くなるんです」
だが、ビジネスマンのトランプ氏の揺さぶりに中国の我慢はいつまで続くか。