45年ぶりの“掟破り”のトランプ流対中政策だが、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が「台湾」の重要性を解説する。
「アジアの鍵は台湾が握っています。中国に占領されると、中国軍を止められるのはグアムとハワイだけ。アメリカ本土上陸を防ぐには、沖縄の琉球諸島から台湾、フィリピンの防衛ラインは一つも落とせません」
米台新同盟の成立阻止に中国も躍起となっている。蔡総統が1月7日から中米4カ国を歴訪する間、中国軍の空母「遼寧」が台湾海峡を通過し、威嚇。中国からの独立志向が強いと言われる蔡総統は屈するのか。
「トランプ大統領の中国観に乗っかると思います。蔡政権発足後、中台の関係は冷え込んでいます。中国政府は公式に認めていませんが、台湾旅行に行かないように関係各所に“指示”したことで旅行客が激減。台湾の中で中国アレルギーは強い」(前出・井上氏)
台湾が「親米派」を表明すれば、中国は黙っていないだろう。アメリカ軍はどう台湾を守るのか。
「中国のミサイル攻撃を迎撃するため、THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)を台湾に配備するのはすぐには難しい。移動可能な海上配備Xバンドレーダーで、台湾周辺をカバーすることが考えられます」(潮氏)
ミサイル攻撃をキャッチすれば、海上自衛隊のイージスやグアムに配備したTHAADミサイルで迎撃することになるだろう。日・米・台の軍事新同盟ばかりではなく、トランプ時代は新経済同盟をももたらす。
12月7日にソフトバンクグループの孫正義社長(59)と会談したトランプ氏は、
「マサは米国のビジネスに500億ドル(約5兆7000億円)を投資し、5万人の新規雇用を作ることで合意した」とツイッターに投稿したが、背景を国際アナリストが明かす。
「5兆円ものカネの出どころは、サウジアラビアです。オバマ時代は反米に傾いていたサウジが、孫氏を通じて『迷惑料』と『就任祝い』を送ったということです」
今後、中東とアメリカの関係も変わろうとしている。一方で、アメリカの雇用を奪う敵と名指ししたメキシコや中国に対しては厳しい。海外製造の製品には35%の高関税を課し、中国製品にも最大45%の関税を課すことを言及。世界中に移っていった生産工場はアメリカに戻るのか。
「中国内では、人件費が上がり、アメリカの地方での生産原価と変わらなくなっています」(近藤氏)
米自動車メーカー・フォードはメキシコの新工場建設を撤回。アップルも生産基盤を移すと予想され、製造業のアメリカ回帰が雪崩れ式に起きているのだ。