アメリカが台湾の支援に向けて本格的に動きだせば、日本も対応が迫られる。潮氏が続けて言う。
「日本の法律で言うと『重要影響事態』になるので、米軍の後方支援を行います。例えば、航空自衛隊の空中給油機で米軍戦闘機への給油をすることになるでしょう。その場合、軍事的には中国にとって日本も敵と見なされ、攻撃をされることもあり、望まなくても中国軍と戦闘状態になります」
「開戦前夜」はまだ先でも、日中間ではすでに前兆となる事件が起きていた。先頃、「トランプ革命で甦る日本」(イースト・プレス)を上梓した評論家の西村幸祐氏が日中の現状を明かす。
「昨年6月と12月、東シナ海の公海上で危険な状況に陥っています。中国国防省は、日本の航空自衛隊のF15戦闘機が中国空軍機に接近して『妨害弾を発射した』と抗議してきました。でも実際は、中国側がF15戦闘機に『攻撃動作』を見せてきたので、フレア(火炎弾)を作動させて退避したのです。今後、トランプ大統領は対中国敵視政策を進め、経済面での圧力をかけることが予想されます。すると、アメリカと関係が近い日本に対しても、トバッチリが及ぶ。F15のケースのような中国の反応がエスカレートするのです」
中国が埋め立てて造成し、滑走路や対空ミサイルを配備する南シナ海の人工島でも火ダネがくすぶっている。1月23日、トランプ政権の報道官が中国に対し、「1国による所有化を図る行為から、国際権益を守る措置を確実に講じる」と語るとその翌日、中国外務省は「言動を慎むべきだ」。そのホコ先は日本にも向けられる。前出・西村氏は言う。
「『南シナ海は自分たちの領海だ』と主張する中国は、南シナ海の公海上で日本の船舶に攻撃動作を取ったり、タンカーを臨検するなどしてくるでしょう。トランプ大統領は人工島について『あの施設を取り除かなければ潰す』と言う。中国はますます反発します」
実は今、東シナ海でも、日本侵攻準備が着々と進められているのだ。
「暫定的な境界線に、中国はやぐらをいっぱい造っています。ここでもトランプ圧力政策の影響で、行動がエスカレートする可能性が高い。やぐらは資源採掘のためとなっていますが、そもそもあそこには資源があまりない。やぐらはいずれ南シナ海と同じく、海上基地に変わる可能性が高い。現にもうへリポートが造られています」(前出・西村氏)
また、尖閣諸島問題でも日中の大激突が予想される。
「ここ数年、中国が尖閣諸島を乗っ取る具体的な計画を進めていることを、内閣情報局が把握しています」(前出・西村氏)
トランプ政策が、中国の“実力行使”を早めることになる‥‥。