昨年3月公開の「つむぐもの」で映画初主演を飾った俳優の石倉三郎は、「トランプ劇場」をこう見る。
「トランプが大統領になって、株価が上がろうが関係ないね。米国民が選んだ、いかにも米国らしい大統領ってだけ。俺なんてつきあうこともないし、真剣に考えるのは政治家の役割。なのに、日本の政治家ときたら当選するまで大変な志を持っているのに、議員になったら数の論理に流されるアマチュアばかり。米国にも弱腰すぎる。戦勝国の米国に腰が引けてすり寄りすぎていませんかね。あのおっさんは言っていることはバカみたいだけど、やっていることはおもしろい。日本の政治家は何ができるか、見ものだね」
愛媛朝日テレビからテレビ愛知に転じたあと、フリーアナとして活動する松本圭世もこう話す。
「ビッグマウスの『アピール』が続いていますが、度が過ぎる発言で孤立して困るのは米国。娘のイヴァンカさん(35)なら暴れ馬の手綱を握れるでしょう。私のテレビ局時代にも、白いものを黒だと言ったら黒にする人物がいて、波風を立てずに従ったフリをしていました。大きな力に逆らえない世の摂理もありますが、自分の中で筋を持っていればブレません。ゴマすりしていた部下は、その人物が異動になったとたん、閑職に追い込まれていました。トランプさんもいつまで勢いがあるかわからないので、安倍総理は耳を傾けながら、程よい距離感を保つことが大事だと思います」
首脳会談では、日米安全保障条約に基づく米国の防衛義務の「確認」も行われそうだ。トランプ氏は選挙中、在日米軍駐留経費の負担増に言及。15年度の日本の在日米軍駐留経費負担額は約7612億円と、同盟国トップである。それでも「撤退」をチラつかせて負担増を迫っていた。
「わかりやすく言えば、暴力を背景にした米国からの恐喝。『守っとんのやさかい、もっと銭回したらんかいっ』ということです。日本がいくら電卓を叩いても、ジャイアンのような米国は聞いてくれません。初めから“のび太が持っているオモチャ”しか見てないんですから」(沖田氏)
米軍駐留が、地域の軍事的安定に重要な役割を果たしているという認識があれば、追加負担も「必要経費」として割り切るほうが得策だと言う。
「所属組織に支払うお金を警察は『上納金』、ヤクザは『会費』と呼びます。今回の要求も『ちぇ、会費また上がったがな』くらいで考え、長引かせないほうがいいでしょう」(前出・沖田氏)
カネこそトランプ流「ジャイアニズム」を満足させる唯一無二の策である。