警備隊は自衛隊の敵ではない
第二次大戦後、日韓の両国に米軍が駐留し、中国や北朝鮮、ロシアとの軍事的バランスを保ってきた。
そうした戦後体制の崩壊が始まっているとしたら、そして、このまま日韓関係が悪化の一途をたどれば‥‥。
島根県隠岐諸島から157キロ先に浮かぶ2つの島、日比谷公園ほどの大きさしかない小さな島を巡り、日本と韓国が一戦交えるということも、ありえない話ではなくなる。
恐ろしいシミュレーションではあるが、その“パンドラの箱”を開けてみよう。
日本の自衛隊の戦力は陸海空合わせて約23万人。対する韓国軍は陸海空合わせて約65万人と、自衛隊の3倍もの人員をそろえている。徴兵制がある韓国とはいえ、人口約5000万人の国とは思えない兵士の数を誇っている。また、保有する艦船、戦車、戦闘機の数でも、韓国軍のほうが優位となっている。
日本が竹島を武力で奪還するのは、とうてい不可能のようにも思える。
しかし、軍事評論家の神浦元彰氏はこう話す。
「自衛隊が竹島に上陸すれば、瞬時に奪還できます」
現在、竹島には漁師の韓国人夫婦2人が住み、「独島警備隊」約40人が常駐している。「この『警備隊』は軍隊ではなく、あくまで韓国の警察組織の一部です。韓国陸軍の訓練を受けているとも言われますが、その装備は自動小銃とヘリコプターを撃ち落とすことができる程度の対空機関砲ぐらいしかない。つまり、戦争を想定している部隊ではないのです。戦争となれば、戦死するか捕虜になるしかない部隊なのです」(前出・神浦氏)
では、専守防衛を旨とする自衛隊に上陸作戦を展開できる部隊はあるのか。
軍事評論家の世良光弘氏はこう話す。
「もし、竹島へ上陸するとなれば、長崎県佐世保市に駐屯している陸自の西部方面普通科連隊が任務に当たることになるでしょう。離島防衛が主任務の部隊で、最近では尖閣諸島問題もあり、敵に奪われた島を奪還することを想定した米海兵隊と合同訓練を行っています。隊員のほとんどがレンジャーの有資格者で構成されており、狙撃手も育成するなど、特殊部隊としての側面を持っています」
陸自の精鋭部隊が極秘裏に竹島に上陸すれば、軍隊ではない「警備隊」など敵ではない。
瞬時に竹島を奪還することは十分に可能なのだ。