またしても悲願の世界女王タイトルがスルリ──。W杯通算53勝の世界タイ記録保持者ながら、高梨沙羅(20)は不思議とビッグタイトルと縁がない。大一番での弱さを露呈するのはいったいなぜなのか。
「ここを目指して準備してきたつもりだったけど、準備不足でした。情けないです」
2月24日、世界選手権ジャンプ個人ノーマルヒルで銅メダルに終わった高梨は号泣した。
表彰式でこそ笑顔を振りまき、「(前回はメダルを逃したが)応援してくれる皆さんに何とか形としてメダルを持って帰ることができます。楽しく飛べました」とインタビューに答えたが、報道陣のカメラがない場所では、正反対の顔を見せているという。民放局スポーツ担当記者が深刻な舞台裏を明かす。
「帰国した空港でも、表情は暗かった。そもそも無口なタイプですが、撮影NGの囲み取材になると、ほとんどしゃべりません。『目標の試合に向けて自分を持っていく力がいちばん足りない』と言いつつ、対策を問われれば『それが知りたいんです』と表情を曇らせてしまう。相当、悩んでいます」
それもそのはず、14年のソチ五輪は4位、5度目の挑戦となった世界選手権でも3位で、いまだ0勝。今シーズンも、ここ一番の舞台で連続不発なのだ。スポーツ紙デスクが話す。
「W杯通算53勝という驚異の記録を、来年の冬季平昌五輪の舞台で達成し、スポーツ紙の1面を飾りました。でも本音は、その前に新記録樹立をしたかった。1月のW杯日本シリーズ(札幌と蔵王で4戦)で連勝すれば可能でしたからね。そこまで6戦5勝と絶好調だったのに、突然崩れ、2位、4位、5位、2位。地元のファンの前でというプレッシャーに潰れた形です。ジャンプは風という自然との闘いもありますが、あらためて勝負弱さを露呈してしまいました」
だが、その最大の悩みを相談する相手は例えば、テニスの松岡修造だったりする。今回の大会直前にも、松岡のインタビューを受けた際に「いちばん勝ちたい試合にピークを合わせるにはどうすればいいんですか」と逆質問しているのだ。前出・民放局記者によれば、
「あれは周囲のアドバイスによるものでした。松岡は『(俺は)世界(の大舞台)で勝ってないのに‥‥。聞く人が違うよね』と苦笑いしていましたけど」
あるいは、スポーツ紙が「(日体大の)大先輩の北島(康介)さんに教わりたい」という高梨の言葉を記事にしたが、実はそれも記者側の提案だったという。
一方、高梨が崩れた先のW杯日本シリーズで2勝した高梨のライバル、伊藤有希(22)は、前回の世界選手権で準優勝するなど急成長を遂げているが、
「スキージャンプ界のレジェンド、葛西紀明(44)と所属先が一緒で、アドバイスをもらっている。高梨も松岡や北島じゃなく、葛西という最高の存在に聞きに行けばいいのに、そうもできない経緯があって、二の足を踏んでいるんですよ」(前出・民放局記者)
週刊アサヒ芸能1月5・12日合併号で報じたが、葛西がファンとの記念撮影に応じているところへ通りかかった高梨にファンが「沙羅さんも一緒にお願いします」と言ったところ、「肖像権がありますから」と一蹴。その言いぐさに葛西はムッとしたのだ。
「高梨は提携するマネージメント会社の指示を忠実に守っただけで、『言われたとおりにしたのに』とおかんむりだった。万事、過保護に育てられている弊害です。とはいえ、あの騒動を機に、他の選手からも白い目で見られ、孤立しています」(ジャンプ関係者)
前出・スポーツ紙デスクも嘆く。
「マスコミ対応は、TBS勤務の兄のラインを優遇。化粧が話題になって整形疑惑も流れましたが、『マスコミが悪い』と批判。今では『化粧』がNGワードですよ」
まるで「ハダカの女王様」一直線の高梨は、反旗を翻したレジェンドに謝罪し、誰に対しても神対応できる姿を学んでみてはどうか。