春の選抜史上、決勝戦に4回以上進出したのは13都道府県あるが、そのうち無敗なのはなんと静岡県のみという事実をどれくらいの高校野球ファンが知っているだろうか。
その始まりは50年の第22回大会。韮山が4対1で高知商を降したことに始まる。2年後の52年第24回大会では静岡商が2対0で鳴門を、78年第50回大会では浜松商がまたも2対0で福井商を破った。西暦が昭和から平成に変わっても静岡県の決勝戦不敗神話は続き、07年第79回大会で常葉菊川が6対5で大垣日大(岐阜)との東海勢対決を制し、ここまで無敵の4連勝を誇っている。今大会も名門・静岡が出場を果たした静岡県勢。この決勝戦無敗伝説、果たしていつまで続くのか。
一方で、昨年の大会終了時点までで決勝戦に3回進出したことのあるのは21都府県。そのなかでなぜか唯一優勝したことがない県が福岡県なのだ。
最初は戦後すぐの47年第19回大会。小倉中(現・小倉)が徳島商と対戦し、延長13回のすえ、3対1で惜敗。次は54年第26回大会。またも小倉が決勝戦に進出したが、そこに立ちはだかったのが、飯田長姫(長野)の小さな大投手・光沢毅。0対1で完封負けを喫した。そして3回目は記憶に新しい11年第83回大会の九州国際大付。08から10年にかけて九州勢が3連覇していたため、4連覇への期待が高まっていたが、強豪・東海大相模(神奈川)の前に1対6で完敗してしまった。
今大会、福岡県勢は福岡大大濠と東海大福岡の2校が出場。果たして決勝戦に進出して、この福岡の不名誉な記録を止めることが出来るか。
(高校野球評論家・上杉純也)