今年の春の選抜もいよいよ佳境に近づいてきた。勝ち残ったチームの顔触れをみて、今年も“ある都道府県”は“ある壁”を越えることが出来ず、甲子園を去って行った。その壁とは「最高成績の更新」である。
実は春の選抜ではまだ以下の県の優勝がない。北から順に北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、群馬県、千葉県、山梨県、新潟県、富山県、石川県、滋賀県、鳥取県、島根県、福岡県、佐賀県、宮崎県の19道県である。そのうち決勝戦にも進出したことがないのが、秋田県、山形県、福島県、山梨県、新潟県、富山県、石川県、滋賀県、島根県、佐賀県、宮崎県と11県あるのだ。
さらにこれらの県でベスト4に進出したことがあるのは秋田県(1回)、山形県(1回)、山梨県(4回)、富山県(1回)、宮崎県(1回)の5県。逆にベスト8が最高成績なのは福島県、新潟県、石川県、滋賀県、島根県、佐賀県。実に6県にベスト4経験がないワケだ。このうち、福島県は71年第43回大会と00年第72回大会の福島商、13年第85回大会の聖光学院とベスト8が3回、新潟県は06年第78回大会での日本文理で1回、島根県は61年第33回大会の島根商と83年第55回大会の大社の2回、佐賀県も55年第27回大会の佐賀商と89年第61回大会の龍谷の2回。最も多いのが石川県と滋賀県の各5回だった。石川県は金沢が64年第36回大会と66年第38回大会、90年第62回大会の計3回、星稜が92年第64回大会と95年第67回大会の計2回。滋賀県は八幡商が57年第34回大会と62年第34回大会、93年第65回大会の計3回、03年第75回大会での近江が1回、そして昨年第88回大会での滋賀学園が1回。つまり石川県と滋賀県が最もベスト4の壁に跳ね返されているワケだ。
今大会では滋賀学園に滋賀県勢初のベスト4進出の期待がかかっていたが、福岡大大濠との延長15回引き分け再試合で3対5と惜敗。ベスト8にも進出出来ず、その期待は次大会以降へと持ち越すことになった。果たしてこの6県の中で最初にベスト4進出を果たすのはどこなのだろうか。
(高校野球評論家・上杉純也)