テリー 今年もやっぱり、注目選手は大谷になっちゃうと思うんですが、高木さんから見て、どうですか?去年は10勝でしたけど、今年も2桁いきます?
高木 体さえ万全なら、何の心配もないでしょうね。ピッチャーに専念すれば恐らく20勝、バッターだけなら3割40本、40盗塁できる。足もめちゃくちゃ速いですから。
テリー アハハハ、笑うしかないな。漫画ですよね。
高木 いや、本当に。昔は「二兎を追う者は一兎をも得ず」みたいな固定観念がありましたからね。
テリー その辺りは、やはり栗山監督の慧眼ですか?
高木 あの素質を見てしまったら、捨てきれないんじゃないですか? でも、松坂(大輔)にも、それはできたと思うんですよね‥‥大谷のようにプレイできていたら、松坂の人生は変わっていたかもしれない。
テリー じゃあ、名前が出たところで松坂の印象も聞かせてください。去年は40球ぐらいしか投げてないですよね。なのに、年俸が4億だから「1球2000万」とか、ヤユされたりもしていましたけど。
高木 僕はこう思うんですよ、テリーさん。高校の時から伝説を作り、1年目の初先発で155キロを投げ、(日ハムの)片岡篤史を豪快に空振りさせた。そして日本一になり、アテネ五輪に行き、メジャーに渡り‥‥そうやって人を楽しませてきたことを考えると、「1球いくら」じゃなくて、松坂というブランドにそれだけの価値があるんじゃないか、と。
テリー それだけ大事な存在だっていうことですよね。僕、長嶋(茂雄)さんが引退される頃、よく仕事をサボって球場へ試合を観に行ってたんですけど、回りのファンは「おい、長嶋!」なんて声をかける風じゃなくて、「ミスター、頑張れ!」みたいな表情をして、黙って祈るようにして観ていたんです。今の松坂も、それに近いような感じなのかな。
高木 そうだと思いますよ。松坂は自分を信じていて、だからまだ一生懸命やっているんだと思います。あの立場なら普通、もっとやさぐれた感じになるのかもしれないですけど、紳士ですよね。立派だと思います。
テリー 松坂は今年、何勝ぐらいできそうですか?
高木 いや、まずはとにかく、マウンドに上がってほしい。
テリー それはもう、先発のローテーションに入れないということですか?
高木 そうですね。入るとしても、もっと気温が暖かくなって、体の芯から汗が出るようになってからだと思います。
テリー 5月ぐらい?
高木 だといいですね。ただ、まだ試運転ですし、その頃のソフトバンクに余裕があるかどうかにも左右されますから。でも、アテネで一緒に闘った仲間ですし、またあの頃のような活躍を見てみたいです。
テリー やっぱり、今年も見どころはたくさんありますね。しかし野球の話は楽しいなァ。
高木 僕も野球が好きな方と話ができるのは、すごく楽しいです。ただ、僕の場合は立場も責任もありますからね。
テリー そりゃそうだ。僕みたいに無責任に「ジャイアンツ優勝!」と言ってばかりではいられませんものね(笑)。
高木 毎年のことですけど順位予想は勇気がいりますよ(苦笑)。
◆テリーからひと言
テレビの中継を観ながら好きなことばっかり言ってるファンとは違って、現場に足を運んで分析しなきゃいけない高木さんは大変だね。おかげで、今シーズンの楽しみが増えました!