去る3月27日、151億円の巨額負債により経営破綻が明らかになった旅行会社「てるみくらぶ」。今回の騒動に、多くの若手芸人たちから慕われる“東京芸人の父”も金銭的被害に巻き込まれていた。「ブッチャーブラザーズ」のぶっちゃあ(62)が偽らざる心境をありのまま吐露した。
「3月26日から31日まで嫁と小学生の娘と3人でハワイ旅行に行く予定だったんですよ。ところが、土曜日の朝に、レギュラー出演している千葉テレビの番組の台本を確認するためにメールを受信したところ‥‥」
24日の深夜0時過ぎ、本名の山部薫宛てで、「てるみくらぶ」から〈緊急のお知らせとお詫び〉という件名で1通のメールが届いた。そこには、このような文言が記されていたという。
〈この度、弊社でご利用いただいている旅行ツアーに関し、航空券の発券システムが利用できない等の事態が発生しております〉
ハワイ旅行への出発が翌日に迫っていた、ぶっちゃあが、その後の顛末について語る。
「問い合わせ窓口に何度も電話をかけたのですが、『現在回線が混み合っています。しばらくたってからお掛け直しください』のアナウンスが繰り返されるだけ。そこで現地の旅行会社にもメールで確認したところ、〈現地でもホテルのお部屋は取れていても、ホテル側から宿泊費を請求されたといったご連絡を頂いております〉と。実は過去にも『てるみくらぶ』のツアーでハワイやグアムに行っていたので、まさかこんな事態になるとは‥‥」
結局、ぶっちゃあ一家はハワイ旅行をキャンセルするハメになった。当初はハワイアン航空のビジネスクラスにリゾートホテル宿泊込みで1人18万円なら安いと思っていたものだが、3人分のツアー料金約60万円は水の泡となったのだ。
今回の「てるみくらぶ」破産は、旅行会社の倒産規模としては、08年のリーマン・ショック以降、最大となる。影響は、契約者数で3万6000人、被害総額は99億円に上る。被害者たちはツアー料金を取り戻すことができるのだろうか?
債権問題などに精通する弁護士の坂東利国氏が解説する。
「日本旅行業協会の保証金は1億2000万円が限度となっています。27日の記者会見でも説明がなされていましたが、今回の負債総額は99億円ということなので、単純計算すると1%程度になります。60万円なら6000円しか戻ってこないでしょう」
また、27日に東京地裁に破産を申請した同社は、直前まで営業担当者がツアー代金の振り込みを催促する連絡を行うなど、計画倒産の疑いも指摘されている。
前出・坂東氏が詐欺罪の可能性について言及する。
「これだけの報道がなされ、警察が捜査に乗り出すことは十分考えられます。ただし、顧客に旅行代金を振り込ませていただけでは詐欺罪は成立しない。『金銭をだまし取っていた』ことが焦点となりますが、同社に旅行業務の実態が確認できるのであれば、詐欺事件として立件することはきわめてハードルが高いと言えます」
事件発覚から1週間。現在も怒りが収まらない、ぶっちゃあは声を荒らげる。
「嫁も娘も落胆していた。サンセットクルーズのディナーやウオータースライダーを楽しみにしていたのに、60万円が6000円とは‥‥。まぁ、僕は芸人だから、今回の騒動でこうやってアサ芸さんにも取り上げてもらえた。60万円は広告宣伝費だと思えば、割り切ることもできる。でも被害者の中には、アルバイトでためたお金で卒業旅行に行こうとしていた学生さんたちもたくさんいると思う。ほんまに、『てるみくらぶ』は、最悪や! ええかげんにせえよ!! これから海外旅行に行く時は、少々高くてもJTBかH.I.Sにしようと思う(笑)」
ハワイへの家族旅行が一瞬にして消えた、ぶっちゃあ一家は先日、富士サファリパークと御殿場プレミアム・アウトレットに出かけたという。