さらにひどいのは、キューバとの開幕戦先発に抜擢されたロッテの石川歩(29)。2試合に先発して勝ち星はなく、専門家からは「体が突っ立ってしまっているから、得意のシンカーが変化しない。もろにWBCのマウンド、公式球の影響でしょう」と指摘されている。WBCでは東京ドームでの1次、2次ラウンドでも、メジャー式の硬い粘土質でお椀のような急斜面のマウンドに変更。それに合わせてフォームを作っただけに、短期間で再び元に戻すとなると、ハレーションが起きるというわけだ。
阪神の藤浪晋太郎(23)は、1次ラウンドの中国戦での2イニングと、最終ラウンド前の強化試合でしか実戦登板がなかったため、試合勘を失ったまま阪神で先発登板することに。4月4日のヤクルト戦では9死四球の大荒れピッチング。畠山和洋(34)の肩から頭にかけて“暴投”が襲い、大乱闘に発展してしまった。
「2試合目の先発となったDeNA戦では1四球1失点で勝利投手となりましたが、試合前に激励に来たWBCの権藤コーチに助けを求めていました。まだまったく安心はできず、阪神の関係者は『試合にも出場できなかったし、WBCに選ばれたことはいい迷惑』と、不満をブチまけていましたよ」(球団関係者)
その一方で、ウハウハな「バブル組」がいるのも事実。筆頭は小久保監督だ。球界関係者が明かす。
「講演会のオファーが殺到しています。ギャラは1時間程度で100万円前後。あの激闘の裏話には誰もが興味を抱いていますから。その儲けを見込んでか、帰国するなり、車の買い替えでなじみのディーラーのもとへ行き、新車を物色していました。今、2000万円はするベントレーに乗っていますが、さらに高級なマセラッティをセレクトしたようです」
ソフトバンクの千賀滉大(24)は、WBCでメジャースカウトの評価が一変した。NPB関係者は、
「150キロ級の直球と、お化けと言われるフォークは、すぐさま抑えでも先発でも通用するという評価です。今はメジャーの多くの球団が極東担当スカウトを日本に置いていますが、WBCでは10人を超えるスカウトがダブルチェックをする。これまで報告書に目を通していなかった編成部が『こんな投手が日本にいたのか』と驚いたそうです」
メジャー市場では早くも千賀に30億円から50億円の値段がついているという。ソフトバンクはポスティング移籍を認める球団方針ゆえ、意外と早く千賀のメジャー移籍が現実のものになるのかもしれない。
もう1人、評価を一変させたのが、広島の菊池涼介(27)である。日本随一とされる華麗な守備をWBCでも連発し、メジャースカウトの目を釘づけにしたのだ。関係者を通じて「社交辞令ではなく、メジャーは本気だぞ」と伝えられた菊池は、当初は聞き流していたものの、今やすっかりソノ気になっているとか。
「アリゾナとドジャースタジアムのすばらしい雰囲気でプレーして、『あんなところでやりたいな』と漏らすようになりました。西岡剛(32)や中島裕之(34)らの失敗で、メジャーでの日本人内野手の評価はガタ落ちしていますが、守備力が評価されるのは初めてでしょう。そういう部分に菊池も魅力を感じているようです」(広島のメディア関係者)
確かに守備が買われてメジャー移籍となれば、過去に例がない。
まだシーズンは始まったばかり。終わってみれば、後遺症組もバブル組も、どうなっていることか──。