日本列島を熱狂させた侍ジャパンのメンバーに明暗くっきり──。大舞台での貴重な経験と引き換えに、絶不調に陥った者。あるいは、WBCバブルの恩恵を受ける者。ペナントレースに多大な影響を与えている「その後」を追った。
侍ジャパンの不動の4番だった横浜DeNAの筒香嘉智(25)は、開幕11試合でノーアーチ、打点もわずか1。好機をことごとく潰し、ラミレス監督(42)を悩ませている。5番を打ち、3本塁打と爆発した日本ハムの中田翔(27)も、右にならえの不振ぶり。あげく右足内転筋を痛め、4月13日に一軍登録を抹消されてしまった。
「中田はそもそも、WBC前から右手首と腰を痛めていましたが、『小久保裕紀監督(45)の男気に応えたい』と強行参加したんです。2次ラウンドの終盤は体調不良で欠場したほど。そこからすぐにシーズン突入ですから、完全なWBC後遺症ですね」(NPB関係者)
一方の筒香は、準決勝の米国戦ですっかり打撃を狂わされた。1点を追う8回二死一、二塁で打席に入ると、米国のマウンドはフィリーズのセットアッパー、ニシェクに交代。見たことのないようなタイミングで真横から投げてくる超変則右腕の前に、逆転ホームランかという打球がガクッと失速してライトフライに。試合後、筒香は「すぐ目の前で手が出てくる感じだった」と関係者に漏らしたというが、これで繊細に作り上げた打撃は壊れた。テレビ中継スタッフが言う。
「練習ではサク越え連発で相変わらずスゴいんですが、試合ではさっぱり。まだあの変則右腕の残像が残っているのかもしれません。横浜の桜木町駅前ビルに数十メートルの巨大な筒香の写真を使った広告を打った営業サイドが『筒香でプロモーションができない』と困り果てているとか」
WBCでラッキーボーイとなった巨人の小林誠司(27)もさっぱりだ。打率は1割を切り、打点は0(4月13日現在、以下同)。チャンスでは当たり前のように代打を送られる。おまけにリード面も冴えないのだ。球団関係者によれば、逆転負けで3タテを食らった4月13日の広島戦での9回、松山竜平(31)に浴びた同点アーチの配球を、元中日監督の谷繁元信氏に「配球ミスで負けた」とブッタ斬られる始末。前出・NPB関係者が苦笑する。
「実はWBCのリードは全て、権藤博投手コーチ(78)に『こうしろ、ああしろ』と具体的に指示されたのをそのままやっていただけ。それを知る関係者の間では『シーズンに入ったらボロが出る』と言われていましたが、まさかこんなに早く元に戻るとは」
WBC開幕のキューバ戦で大爆発したソフトバンクの「熱男」松田宣浩(33)も、ペナントレース開幕後は絶不調に陥った。
「多大な緊張感の中でプレーしたため、帰国後しばらくは眠れない日が続いたそうです。松田の場合、燃え尽き症候群のような状態になってしまっている」(球界関係者)
投手陣では巨人・菅野智之(27)が先発2戦目の広島戦で打ち込まれ、追加招集されていたソフトバンクの武田翔太(24)も右肩の違和感で登録抹消されている。