4月30日は京都で「天皇賞」が行われる。過去10年、1番人気馬の成績は〈0019〉。5月7日の「NHKマイルC」は〈6103〉と両極端。また、いずれのレースも2桁人気馬の活躍が目立つだけに、馬券的には超難解だ。
秋のそれに比べてよく荒れる──。それが春の天皇賞の馬券的な特徴と言っていいか。
とにかく、馬単が導入された03年以降、これまでの14年間で1番人気に支持されて期待に応えた馬はわずかに1頭。2着は皆無。その1頭はディープインパクトなのだから納得だが、それ以外は連対さえ果たしておらず、1番人気馬は、まず疑ってかかるべきGIと見るべき。それでも2番人気馬は5勝(2着2回)なのだから、むろん、やみくもな穴狙いは避けるべきだ。
今回は、キタサンブラック、サトノダイヤモンドが人気を分け合うことになるが、この両馬がともに連対を外すことは考えづらく、波乱の目は小さいか。
とはいえ、この14年間、馬単で万馬券になったのは半数以上の8回(馬連では7回)。であれば、前述2頭のいずれかを主軸として、伏兵陣の何頭かに馬券を流すべきなのだろう。
レースの特徴としては、これからピークを迎える4歳馬と、充実著しい5歳馬が圧倒的とも言える強さを見せている。キャリア豊富な6歳勢の奮闘も見逃せないが、7歳以上はこの14年間で勝ち鞍がなく、実績があるからといって、高齢馬に強く肩入れするのは避けたほうがいいようだ。
以上のデータからも、キタサンブラックかサトノダイヤモンド(ともに京都コースは3戦3勝)ということになるが、勢いということでは、わずかながら4歳のサトノダイヤモンドに軍配を上げるべきなのかもしれない。
でも、穴党の当欄としては、この人気両馬から入るわけにはいかない。2頭に続く人気、有力どころは、アルバート、ゴールドアクター、シャケトラ、シュヴァルグラン、そして、ディーマジェスティにレインボーラインとなるか。
この中で上昇一途の4歳馬はシャケトラ、ディーマジェスティ、レインボーラインの3頭だ。
シャケトラは、前走の日経賞で初重賞制覇。言わば遅れてきた大物で、ようやくその素質が開花したと言っていい。血統的に3200メートルは望むところだが、前走から3キロ増の斤量58キロでの戦いは、かなり厳しいのではないか。
菊花賞2着の実績があるレインボーラインも、今期初戦となった前走の日経賞は55キロ(結果はコンマ3秒差の4着)。やはり苦戦を強いられそうな感じだ。
ならば、期待すべき馬はディーマジェスティだ。
同じ4歳馬のサトノダイヤモンドに水をあけられた印象はあるが、皐月賞馬であり、ダービーは一頓挫ありながらコンマ1秒差の3着。スムーズな競馬ができていれば勝っていたという評価もあったほどだ。
菊花賞はサトノダイヤモンドにあっさりと敗れたが、この時は中間の調整がスムーズにいかず、重め残りでの出走。やむをえない結果だった。これが尾を引いて続くジャパンCは体調を崩してしまい(腰に疲れ)完敗。つまり、この2走は参考外と見てよく、気にする必要はまったくない。
その後は休養して、じっくりと立て直しを図ったのが奏功。前走の日経賞は敗れたとはいえ、勝ったシャケトラとはコンマ5秒差の6着。まだ余裕残しで仕上がり途上の状態だったことを思うと、上々の内容と言っていいだろう。
「一度使ったことで、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。腰がパンとしたし、全体的にたくましくもなった」
こう言って愛馬の充実ぶりに目を細めるのは二ノ宮調教師。1週前の追い切りも滑らかで躍動感たっぷりに動いていた。本来の姿に戻って、さらなる良化ぶりを見せているとあっては、人気両馬に割って入っても何ら不思議はない。
ジェネラス(英・愛ダービーなどGI4勝)が近親に、トリプティク、トリリオン(ともに全欧古馬女王)を一族に持つ良血。チャンスは十分あっていい。