今週は中山で「セントライト記念」が行われる。過去10年で1、2番人気馬がそろって馬券になったのは2回のみ。波乱含みの一戦だ。一方、阪神の「ローズS」は同条件で4回。今年は桜花賞馬vsオークス馬の一騎打ちか!?
今週は関東で菊花賞のトライアル・セントライト記念が、関西では秋華賞のそれ、ローズSがメインとして行われる。
セントライト記念には、皐月賞馬でダービー3着惜敗のディーマジェスティとラジオNIKKEI賞を完勝、飛躍が期待されているゼーヴィントが出走。この両馬の対決が見られることで、かなりの盛り上がりを見せている。
ローズSも、しかり。桜花賞馬ジュエラー、オークス馬シンハライトが顔を合わせるのだから注目を浴びるのは当然だ。
さて、まずはセントライト記念。馬単導入後の過去14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連2回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)。2番人気馬は2勝(2着3回)。まずは中穴傾向の重賞ということになるが、この14年間で、ここを勝って本番・菊花賞で勝ち負けしたのは昨年のキタサンブラックのみ。来週の神戸新聞杯と異なり、本番との結び付きは強くはない。
ただ各馬、各陣営とも菊花賞を意識して臨んできていることは確かで、その意味では距離が延びて、よりいい馬が勝ち負けする傾向にある。舞台は中山外回りの2200メートル。先行力があるか、上手に立ち回って、しまい切れる馬がチャンスをモノにしているが、さて今回はどうか。
まず、前述した有力両馬の現状を見てみよう。
ディーマジェスティは、1週前の追い切りがすばらしかった。併せた馬を楽々と斬り捨て、追われてからの反応も文句なし。手綱を取った主戦の蛯名騎手が「思った以上。来週(の本追い切り)は軽めで十分」と、満足気に語ったほどだ。
ゼーヴィントも好時計をはじき出し、「秋になってたくましくなった」と、厩舎関係者が口をそろえて成長ぶりを強調していた。
なら、この両馬のいずれかを主力に推すのが馬券の筋論になるが、ともに休み明けだけに全幅の信頼を寄せていいものかどうか。すでに本番の出走権は手中にしているだけに、まだ“おつり”を残していることも確かだろう。特にディーマジェスティは、蹄の状態が悪く、夏場の始動が遅れてしまった。“叩き良化型”でもあり、本命視しづらい。
穴党としては、やはり人気薄の馬に目をつけたい。狙いはキークラッカーだ。未勝利-500万条件平場を連勝中だが、ここは相手が一気に強くなる。“家賃が高い”と見られてもやむをえないところだ。
が、均斉の取れた好馬体で実に柔らかな身のこなしを見せる馬。ただ者ではないとニラんでいる。先行力があり、中山の外回り2200メートルはピッタリのはず。
「リズムよく運べればハナに立たなくてもいい。前走後、ここを目標に一段と良化している」
こう言って期待感をにじますのは土田調教師だが、なるほど、1週前の追い切りは軽快かつリズミカル。実にいい雰囲気だった。
血統も魅力だ。ジャングルポケットを父にステイゴールドが母の父と典型的なスタミナ配合で、名牝セックスアピール(全欧2歳王者トライマイベストの母)に遡る良血。素質は確かなのだ。“一発”があっても不思議はない。
ローズSも人気両馬は押さえまで。期待を寄せてみたいのは、カイザーバルだ。
デビュー戦を圧勝。クラシック候補として注目されたが、体質的な弱さが尾を引いて、その後の重要なレースでは見せ場を作るのみにとどまっていた。
しかし、前々走の君子蘭賞を勝ったあと休ませ、成長を促したのが奏功。見違えるばかりにたくましくなって戦列に帰ってきた。休み明けの前走(6着)は、やや重め残りの状態ながら勝ち馬にコンマ3秒差の好内容。この中間は、しっかりと調整できており、一変して好仕上がりだ。
母は桜花賞、ヴィクトリアマイルを勝った女傑ダンスインザムード。強敵相手でも好走必至と見た。