貴源治と並ぶ「大器」と見られているのは時津風部屋の三代目豊山(23)である。馬力のある押しが魅力の豊山には、新潟県出身力士では初代豊山以来となる大関昇進の期待もかかる。
「豊山は時津風部屋の伝統ある四股名。初代の承諾を得て襲名したが、それだけ周囲の期待も大きい」(相撲関係者)
杉山氏も、将来の角界を背負って立つと予想する。
「三代目豊山は黙っていても強くなるでしょう。大関は間違いない。ということは、その上の横綱も狙えるということです。久々の大物です」
時津風部屋には、次期大関の有力候補、正代がおり、稽古相手にも事欠かない。
「今場所、成績しだいでは、いきなり横綱との対戦も考えられます。14年の新入幕で横綱・鶴竜を破った逸ノ城(24)のように、大金星をあげれば、台風の目になるでしょう」(スポーツ紙記者)
豊山が185センチ、170キロという申し分ない体躯を生かし、上位陣を力で圧倒する場面は十分に想定できるという。
「どっしりとした下半身から、上へと押し上げるように繰り出す押し相撲は、何より力強く、取り口がハマれば上位陣とも十分に渡り合えると思います」(荒井氏)
一方で貴源治、豊山ら若い日本人力士が台頭する中、モンゴル人横綱の去就に注目が集まっている。
「鶴竜が昨年あげた勝星はたった57で、まさにクンロク横綱。先場所も日馬富士に負けてもらったような情けない相撲でやっと10勝した。もし、今場所一桁の勝ち星なら引退勧告が出ても不思議ではない」(前出・相撲関係者)
優勝8回を誇る日馬富士も、弱さを露呈する場面が増えたという。
「条件がそろえば、突き刺さるような出足から相手を一気に持っていけるだけの力はまだ十分にある。ただ、集中力が続かない。先場所も稀勢の里に勝った翌日の玉鷲戦は浴びせ倒しであっけなく敗れている。同じ力士の相撲とは思えませんでした」(前出・スポーツ紙記者)
今場所で角界の勢力図が大きく塗り替えられようとしている。それでも、前出・杉山氏はこう断言する。
「優勝候補の筆頭は白鵬。手負いの稀勢の里は10番勝てばよしとしましょう。恐らく、白鵬が賜杯を奪還し、存在感を見せると思います。全盛時の力はないとはいえ、第一人者です」
新鋭とベテランが勢ぞろいした夏場所。ガチンコの名勝負を期待したい。