かつて「ミスターがさつ」や「残念な兄」といわれた千原兄弟・千原せいじ。しかし今は、世界の超過酷ロケ番組で見せるズバ抜けた適応能力が、高い評価を受けている。
千原ジュニアの実兄だが、性格は真逆。人見知りの弟・ジュニアと違い、せいじは実業家としても大成。一時期は都内に居酒屋、バー、ダンススタジオ、喫茶室などをオープンさせた(現在は撤退店もある)。「がさつな性格は、人生の節目でも変わらなかったそうです」というのは、かつてお笑い雑誌の編集をしていたエディターだ。
「人生でもっとも大事な瞬間であるプロポーズも、せいじさんの場合は雑(笑)。奥さんは元ファンで、“ファンと行く沖縄ツアー”の参加者だったんです。芸人になって3年目のころに出会い、しばらくしてからは、東京と大阪の遠距離恋愛になりました。ある日、『東京に来る?』というせいじさんに、まだ20代前半だった彼女は、『結婚じゃなきゃイヤ』と勝負をかけると、『じゃあ、結婚でええわ』と。こんなに心がこもっていないプロポーズは、彼しかできないでしょう(笑)」
小さいころから、家族思い。千原兄弟を結成時はド貧乏だったが、1袋のチキンラーメンを兄弟で分けたり、知人のマンションの冷蔵庫にあった4本のウィンナーを、これまた律義に弟と2本ずつ分けたり。そもそも、引きこもっていたジュニアを人間として再生させたのは、せいじ。吉本興業で漫才をさせることで、社会人1年生にしたのだ。
「今は中学生になった愛子息が地元・大阪の病院で産まれたことを、仕事先の東京で聞いたときは、あまりのうれしさで拳を突きあげ、薄い天井を突き破ってしまったそう(笑)。家族への愛情は、昔から深いようです」(前出・エディター)
実話もやっぱり、すべらない。
(北村ともこ)