「よそも出ないのはいるのに、うちだけ1年逆風だらけ。野球で勝てないもんだから、そっちで潰しにかかったんだ。『そんなに勝ちたいのか』って、行きたくないのはしょうがないだろう」
こう吐き捨てた落合氏だが、選手選考については建設的な意見も述べている。
「アンケートを取って、行きたいというやつに丸を付けさせて、その中から選べばいい。ゆくゆくはアメリカに行きたい選手はアピールしたいわけだから、候補はいっぱいいる。(自薦の選手だけでは)力がないかと言われれば、けっこうあるのもいる。見極める能力が野球機構にあるかないかでしょう」
要求する選手を出さなければ糾弾するという、方法論に異を唱えた形だ。
こうした発言の数々からは、親会社の読売新聞がWBCの日本ラウンドを主催する巨人に対して、落合氏が悪感情ばかりを募らせているように見える。とはいえ、ある球界関係者はこう分析するのである。
「落合氏は中日監督時代の後年、巨人の監督について、『今まで、ポテンシャルを100%発揮できたことあったか? ないだろ。だから俺らがつけいる隙がある』と話していた。つまり、監督さえしっかりやれば大戦力の巨人はペナントをブッチ切れるという意味で、自分にはその自信があると言っているようだった。巨人で指揮を執るということに意欲があるんですよ」
落合氏の巨人監督就任は、まだ消えていないというのだ。巨人サイドも渡辺会長が名指しするほど、欲しい人材。清武氏という落合氏の怨敵もすでに球団にはいない。ただし、実現するには原辰徳監督(54)の去就も連動している。
「やはり巨人は、収束したとはいえ、原監督の不倫スキャンダルを快く思っていないんです。勇退させるために、原監督を第3回WBCの監督に据え、専念してもらうという名目で、後任に落合氏を連れてくるという案があるといいます。まだ不透明なWBCの監督問題にもカタがつきますから一石二鳥でしょう」(前出・球界関係者)
さて、講演に聞きほれていると、すっかり顔面まひなど気にならなくなっていたが、最後に落合氏はこんなことを口にした。
「けっこう自分の顔、気に入ってます。日に日に自分の顔が変わって(戻って)行くんですよ」
まひがすっかり完治した頃、ファンが次に落合氏の顔を見るのはどんな状況だろうか。