今週は「ユニコーンS」が東京で行われる。過去10年で2桁人気馬が一度も馬券に絡んでいない堅めの傾向。無謀な穴狙いは禁物か。一方、「函館SS」は、昨年12番人気馬が勝利するなど近年は荒れ模様。穴党の出番だ。
3歳馬同士によるダートのGIII戦、ユニコーンSが今週の東京のメイン。以前はシンコウウインディ、タイキシャトル、ウイングアロー、アグネスデジタルなど、ここを踏み台として勝ってスターダムに躍り出る馬は多かったが、ここ何年かはそれほどでもなくなった。フルゲートが見込まれる今年は、どうだろう。
NHKマイルCで僅差2着。芝でも良績を残すリエノテソーロが最右翼と見られるが、米国遠征のアディラート、サンライズソア、リヴェルディなどスター候補は少なくなく、ファン必見のレースと言っていい。
ただ、キャリアの浅い若駒による重賞で未知数な部分が多いわりには、人気サイドで順当に収まっている。馬単が導入された03年以降の過去14年間、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連0回)。この間、1番人気馬は7勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着5回)。本命党の競馬と言ってよさそうだ。
しかし、最有力候補のリエノテソーロは牝馬。これまで21回を数えるこのレースで牝馬が制したのは、わずか2回。“絶対”と見るのは危険かもしれない。しかも、リエノテソーロが勝ったダート戦(2戦2勝)は、ともに地方競馬。それも道悪(脚抜きのいい軽いダート)でのもの。血統的には問題ないが、力を要すダートでどんな競馬を見せてくれるのか。少々疑ってかかりたい。
穴党として狙ってみたいのは、リエノテソーロと同じオーナーが所有するハルクンノテソーロだ。
このレースの前哨戦でもあった青竜Sで2着。敗れたとはいえ高い能力を感じさせる内容だった。緩いペースで3番手にいた馬が勝って、逃げた馬が3着に粘ったもの。それを最速の上がり脚で追い込んだのだが、直線では故障した馬のアオリを食らってもいる。
力量のほどが推し量れるが、この時は重馬場で軽いダート。ファスリエフ×ワイルドラッシュという血の配合から踏んで、力のいる乾いたダートのほうがよりいいはず。良馬場ならチャンスが大いにあっていい。
この中間は順調そのもの。1週前の追い切りでは坂路で53秒3、上がり39秒7-12秒7。馬なりで軽めではあったが、全身を使って滑らかな動きを披露、状態のよさを誇示していた。
一戦ごとに持ち味である強烈な末脚に磨きがかかっており、ペースが速くなりやすい直線の長い東京でのマイル戦は持ってこい。実際、東京のダートは〈1110〉と得意としている。
「使いづめだが馬体減りもなく、いたって順調。相手は強くなるが、そう差はない」
こう言ってヤル気のほどをチラつかせるのは高木登調教師だが、見栄えのするあか抜けた好馬体からも、秘めた力はかなりのもの。あのトウカイテイオー(ダービー、ジャパンCなどGI4勝)が近親にいて、血統からも重賞を勝っていい。
逆転候補の筆頭にあげたいのは、リヴェルディ。前走の鳳雛S(2着)では後方一気のすさまじい末脚を見せたが、こうした脚質を思えば今回はこの馬にとって格好の舞台と言っていいだろう。1週前の追い切りでは格上のゴールドアクターと互角に渡り合っており、状態のよさは明らかだ。
穴中の穴は、ブルベアバブーンだ。使いづめで東京までの輸送が気になるところだが、体重が大きく減らなければ好勝負になっていい。こちらも鋭い末脚が身上で、東京コースは合っている。女傑ヒシアマゾン(阪神3歳牝馬S、エリザベス女王杯)、スリープレスナイト(スプリンターズS)、アドマイヤムーン(ドバイデューティーフリー、ジャパンCなどGI3勝)と近親、一族に活躍馬がズラリ。人気薄だが“一発”があっていい。