夏競馬のローカル開催が函館競馬場(6月17日~)を皮切りに、福島、中京でスタートし、有力騎手が3場に分かれてそれぞれの頂点を競う。そこで、蛯名正義(48)とC・ルメール(38)の「函館対決」をはじめ、“因縁バトル”の行方を徹底予想。トップジョッキーの思惑を知らなきゃ、おいしい馬券は獲れない!
毎年のように熾烈なリーディング争いが繰り広げられる函館競馬。昨年は池添謙一(37)が13勝で、11勝の岩田康誠(43)と三浦皇成(27)を抑えた。スポーツ紙デスクが解説する。
「函館は15年こそ岩田が23勝のぶっちぎりでしたが、通常は激戦区。今年は常連陣に交じって東のベテラン、蛯名が12年ぶりに参戦を表明し、ルメールが初見参。蛯名は心機一転というの後半、お手馬のGI馬ディーマジェスティやマリアライトで結果を残せなかったことでリズムを崩していたし、何よりもエージェント問題で心労を抱えた。東のご意見番として真っ先にエージェント制の改革を訴えるも、西の反対もあり、騎手会の意見調整役として奔走していたからね」
蛯名が北海道(函館と札幌)で年間の騎乗数が100回を超えたのは、デビュー3年目に初遠征した89年とクイーンSを制した05年の2回だけだ。
気になる北海道での成績は‥‥。週刊アサヒ芸能連載でおなじみの伊吹雅也氏が解説する。
「12年は1週、13~16年はそれぞれ2週ずつ北海道にスポット参戦しています。11~16年に限ると複勝率は30.9%、複勝回収率は113%。よく穴をあけていて配当的な妙味があります」
ただし気になる点もある。伊吹氏が続ける。
「ここ5年間、関西馬とコンビを組んだレースで【1 0 0 15】と苦戦。関東馬とのタッグを狙いたい」
しかし、関西馬での勝率アップこそ、函館リーディングへの必須条件だという。栗東のベテラン記者が話す。
「昨年、函館で11勝してリーディング2位の三浦は、関西馬で30戦して7勝。15年に関西馬で39戦して1勝のみだった反省を生かし、昨年は春シーズンの関西遠征時、『夏は北海道に行きますので、攻め馬をさせてください』と有力調教師に営業をしていた。今年は落馬負傷で札幌からの参戦となるだけに、その勝ち星がポイントになるか。西の調教師は蛯名のいわゆる“トントン乗り”をあまり評価してないので、ルメールに流れそう」
14年皐月賞馬のイスラボニータは16年安田記念を最後に蛯名の手を離れ、ルメールのお手馬になり、今年4月のマイラーズCで2年半ぶりの勝利に導かれた。
「蛯名ファンから見れば、ルメールは因縁深い騎手でしょうね。ただ、今のルメールを蹴って馬券は取れない。函館に初見参とはいえ、スタートと位置取り、折り合いがポイントの函館こそ、ルメールにぴったり。今年のダービーを見れば一目瞭然で、あの大舞台でも、ペースが遅ければ位置を上げ、しっかりと折り合って完勝でした」(前出・ベテラン記者)
今年はルメールの圧勝劇もありそうだ。
「札幌の成績は関東馬で22勝(勝率31.4%)、関西馬で10勝(同11.8%)。騎乗数は関西馬のほうが多かったものの、勝ち鞍の多くは関東馬。関西の調教師からも有力馬を任されるようになれば、圧倒的な成績を収める可能性もありそうです」(前出・伊吹氏)
ただし、函館は内枠が有利になりがちな競馬場だけに、馬番も注視したい。
「例えば、函館実績のある岩田騎手にしても、枠順がポイント。芝であれば、馬番が1~6番だったレースは複勝率53.7%。ダートは馬番2~4番のレースに限ると複勝率53.2%と高い」(前出・伊吹氏)
※記事中のデータはJRA主催のレースのもので、特に記載のあるものを除き、17年5月28日終了時点のものです。