富士山噴火の危機が目前に迫っているという衝撃の研究が発表された。過去、宝永大噴火では大量の火山灰が江戸の町を襲った。現代では、この灰によって都市機能が破壊し尽くされるというのだ。この危機を乗り越えるサバイバルマニュアルを公開!
文科省管轄の専門機関である防災科学技術研究所が“噴火もありうる”と判断したのは、昨年3月11日に発生した東日本大震災から4日後、静岡県東部で起きたM6・4の地震の影響だ。これによって富士山のマグマだまりに、噴火を引き起こしかねない大きな圧力がかかっていたことがわかったのだ。
現在のところ、火山性微動など顕著な噴火の兆候は観測されていない。だが、1707年の宝永大噴火で直前の宝永地震により富士山に加わった力より、今回の圧力は強かったという。
そして、9月6日、研究チームが「地震から数年たってから噴火する可能性もあり、警戒が必要」と衝撃発表したのだ。
東海大地震予知研究センターの竹内昭洋特定研究員が言う。
「東日本大震災の結果、三陸沖のストレスは取れましたが、滑り残ったところもあり、三陸沖の北と南で圧力が強まっている。富士山にかかる太平洋プレートの圧力も強まっていることは間違いありません」
昨年来、富士山麓の湧水が噴き上げ、富士五湖には「赤池」と称する幻の湖が誕生した。
「それがマグマだまりに加わった圧力のせいか、降雨のせいか、よくわからない」(竹内氏)
とする研究者が多いが、
「あれは水噴火です。明らかにマグマだまりに加わった圧力の影響です」
と語る琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏がこう続ける。
「火山の噴火には2つのタイプがあります。貞観の噴火の時は大量のマグマが流出しましたが、200年続いた活動の最後に起こった宝永の大噴火では、大量の火山灰が江戸の町に降り、10センチ積もった。宝永噴火から300年。マグマは相当たまっているはずです。今回はどちらのタイプになるか。私はマグマ流出のほうと推測していますが、降灰にも十分な対策が必要なのは言うまでもありません」
ハザードマップによると富士山の噴火による大きな被害が予想されている。噴火する場所によっては、溶岩流は3時間程度で中央道が走る山梨県富士吉田市街付近に達し、24時間後には静岡県富士市の東名高速を越えて、東海道新幹線の間近まで迫る。
火山灰や軽石を噴出する大規模な噴火の場合には、静岡、山梨、神奈川3県の山麓などで降灰は50センチ以上が予想され、横浜市や東京都の一部で10センチ以上の火山灰が堆積する見込みだ。また、 埼玉、千葉、茨城、長野の一部でも2センチ以上堆積すると見られている。降灰地域は風向きや季節によって変わり、夏場は北側への被害が大きく、降灰地域では土石流の発生も予想される。