では、月額どのくらいかかるのか。このクラブ会員が続ける。
「カイバ代が約3000円、管理費が1500円程度。デビューは2年後なので、この金額をそれまで払い続けることになります。過去にもキングカメハメハ産駒の牡馬(一口3万5000円)を持っていました」
これくらいの低額なら、サラリーマンでも払うことができる。会員がさらに説明する。
「牝馬は繁殖馬になる可能性があるから、大事にされる。ケガをしたり早く死んでしまっては困るので、わずか1戦か2戦で引退することがあるんです。デビュー戦前に引退させられることもありますね」
そうした場合はどうなるのかというと、
「以前は馬がデビューできなかったり未勝利のまま引退した場合、クラブによって違いはありますが、代用馬を提供されたり、馬の代金の40%ほどの補償金が出たりしました。ところが11年に補償制度は廃止となり、一口馬主制度はファンド、金融商品の扱いになった。馬主の自己責任になりますね。ただ、レース中の故障については、JRAから事故見舞金が出ます」(馬主クラブ関係者)
では、これから一口馬主を始めようとする人のために、平均的な条件を仮定し、収支決算をしてみよう。かかる費用は大きく分けて、馬の代金と預託料だ。
2000万円(総口数500、一口当たり4万円)の馬で4年間現役を続け、生涯獲得賞金が5000万円だった場合、おおよそ次のようになる。
[収入]賞金総額5000万円×会員分配率70%÷500=一口当たり7万円。
[支出]出資金4万円、維持会費月1200円×48カ月=5万7600円、保険料年間1000円×4年=4000円、月会費3000円×48カ月=14万4000円。総額は24万5600円。
[収支決算]収入7万円‒支出24万5600円=▲17万5600円。
どうやら2、3勝したぐらいでは、なかなか元は取れないようだ。
「馬の値段にもよりますが、一般的に準オープンクラスに入ってコンスタントに走れないと、プラス計上は難しいと言われます。現実的には、デビューする馬のうち、新馬・未勝利を勝ち上がれるのは4割弱で、2勝目を上げるのは、そのうちのさらに半分ほど。準オープンまで行くのは1割ほどではないでしょうか」(競馬ライター)
もちろん、中には13億円以上もの賞金を稼いだ(サンデーレーシングのクラブ馬だった)オルフェーヴルやジェンティルドンナを所有していた一口馬主もいる。そういうチャンスがあるから、一口馬主が魅力的なのも確かなのだ。